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2004.11.21

[資料紹介]"Toward Equality of Access"

 先日、"IFLAインターネット宣言"の紹介記事で、公共図書館がインターネットアクセスに果たすべき役割の重要性について触れた。今回、もう一つ同様な文献を紹介したい。"Toward Equality of Access"というタイトルの、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がかかわって発表された報告書である。

  "Toward Equality of Access: the role of public libraries in addressing the digital divide"
  http://www.gatesfoundation.org/nr/Downloads/libraries/uslibraries/reports/TowardEqualityofAccess.pdf

 報告書の"About this report"というページに内容が簡単にまとめられている。それによると、アメリカの公共図書館の95パーセントは、図書館でコンピュータを用意して無料のインターネット・アクセス環境を提供しているが、この国の最貧地域の住人--最も大きな情報ニーズを持った人々である--にとってはそれが唯一のインターネットアクセス手段の提供である場合がしばしばあるとのことである。このレポートは、情報格差(デジタルデバイド)に取り組む為の、図書館でのインターネットアクセス手段の提供事業の重要性を評価している。そして、デジタル情報へのアクセス環境を提供するという役割を果たしていくために、急いで着手すべき挑戦に公共図書館が直面していることにも触れている。そして、このサービスが、政策決定者や図書館司書、地域での支持者の継続的な支援無しには継続することが出来ないと言うことを述べている。

 次に章立てを試みに訳して紹介する

    要約
    1. 情報格差: 議論を発展させる
    2. 公共からのアクセスの提供者としての図書館: 概略史
    3. 図書館でコンピュータを提供するということ: 図書館における投資の評価
    4. 挑戦は続く:予算削減の風潮の中で、獲得したものを強固なものとすること
    5. 結論

 日本を振り返るに、たとえば『情報通信白書平成16年版』中に記されているように、インターネット利用には様々な要因--たとえば世代・都市規模・世帯年収--により格差が生じている(「第1章第4節2-(5) デジタルデバイドの解消に向けて」から)。一方でそのインターネットには、紙媒体等(図書や雑誌等)で提供されているのと同様に様々な情報が流通している。その中には医療情報や法情報など、利用者の暮らし、そして生き死にに直接かかわるものもある。図書館で扱う他のメディアの情報と同様、インターネット情報へのアクセス機会の不平等はすなわちこの社会で生き抜くための条件の不平等を意味すると言わざるを得ない。逆に、この「情報格差の解消」という任務には「基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする」図書館の役割がますます問われることになるのだと言えよう。

 今、図書館の世界で「受益者負担」を議論しようとする動きがある。このサイトでも「東京都立図書館協議会第22期第1回会議」の報告記事の中でそのことに触れた。それに対し、私たちは今こそ、図書館で利用者に情報を提供することの意義を再確認する必要がある。そのことを考えるきっかけとして、この報告書を是非多くの方に読んでいただければ幸いである。

参考
図書館の自由に関する宣言
http://www.jla.or.jp/ziyuu.htm

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コメント

 最近はどの館種の図書館でもインターネット上での情報発信の取り組みが盛んである。"Biblog @ Maniko KATSURA"の6月6日の記事「岡山県郷土情報ネットワーク」で岡山県立図書館の取り組みが紹介されているが、その他にも各県の特色を生かした取り組みを行っているところが多い。大学図書館でも、各館の特色を生かした情報発信等の取り組みを行っているところが多い。文部科学省研究振興局情報課の報告書『学術情報発信に向けた大学図書館機能の改善について』を参照していただきたい。

 また、ウェブログ『読書日記』で紹介されていたフォーラム「図書館は公共デジタルアーカイブになれるか」では、デジタル環境での図書館のあり方について有意義な議論が行われていたようである。

 但し、情報発信だけでは片手落ちで、インターネットへのアクセス環境を整備していく必要性も重要になっている。そのことについての考え方の基礎になるのが『IFLAインターネット宣言』であり、また"Toward equality of access"なのだと考えている。

 また、先の"Biblog @ Maniko KATSURA"の記事では、「「住民―図書館―行政」という形による図書館サービスは,インターネット上だけで実現すればそれでよいというものではなく,同様のサービスが図書館の内外でhuman-to-humanに行なわれなければならない」ことが述べられている。これは重要な指摘である。図書館は地域の中で何をしなければならないか、そのために、媒体を問わずにどのような情報を扱っていくべきなのか、そのような情報提供手段を整備していく必要があるのか。今後ともそのことをしっかり取り組んでいく必要があるといえるだろう。

『読書日記』へのトラックバック、ありがとうございました。

 若干の補足です。
 フォーラムでの常世田さんの発表は、

サンフランシスコ発:社会変革NPO / 岡部一明. -- 御茶の水書房, 2000.7

と、自身の米国体験をベースに、米国と日本との落差の大きさを語る、という内容でした。
 情報発信、という視点からは、アジア歴史資料センターや、JCAFEの事例から学ぶことが多かったかもしれません。

 それにしても、情報発信には情報発信なりのノウハウが必要で、それは館内におけるサービスとはまた異なるもののようです。だとすると、どう両面を押さえていくのかは、相当程度、人に依存するような気もしています。道は険しい、というのが率直な感想です。

コメントありがとうございました。確かに「人」の要素は大きいですね。道は険しいけれど、一歩一歩進むしかない、と言うところでしょうか。今後ともよろしくお願いします。

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