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2004.12.28

スマトラ沖地震に寄せて

 本当に、天変地異が多い年であった。最後の最後で、スマトラの地震。「スマトラ沖地震雑感」(日々記―へっぽこライブラリアンの日常―)でも早速取り上げられているが、本日、仕事納めからの帰りがけに聞き込んだニュースでは死者が2万人を超えたとのことである。心から哀悼の意を表する。

 『日々記』では災害時の情報伝達のスピードについて取り上げられていたが、管理人の勤務先には留学生が大勢在籍しているため、自らにとっても今回の地震のニュースはそのことが気がかりであった。今回は、インターネットでの外国語新聞のことについて書いてみたい。

 皆さん、ためしにhttp://www.kompas.com/をクリックしてみていただきたい。これは何かと言うと"Kompas"というインドネシアの新聞である。12月28日の画面には、"Ribuan Pengungsi Kekurangan Makanan dan Air Bersih"という見出しの津波のニュースが掲載されている。(「載っている」とはいっても、管理人にインドネシア語がわかるわけでなく、"Kataku"というインドネシア語→英語の翻訳サイトの力を借りたのである。)

 インドネシア語ならばローマ字で普通に表現しているので、パソコン上に特段仕掛けもしなくてもこの"Kompas"の記事を読むことができるが、タイ語やインド諸語等でも、それぞれの言語に必要なフォントをパソコンにインストールすることで、それぞれの言語で新聞を読むことができる。『多文化サービス入門』を紹介した記事のコメントで紹介のあったむすびめの会のサイトにある「インターネット環境の多言語化に関する一考察」という記事に詳細は掲載されているので、参考にしていただければ幸いである。紙媒体の新聞を海外から購入するには高いお金とそれなりの時間がかかるが、インターネットならば当日のニュースが即座に入ってくる。外国人住民の大勢いらっしゃる地域ならば、これを利用しない手はなかろう。

 社会のそれぞれの人間が生きるにあたって、情報の持つ役割は何なのか、そしてそこで図書館、図書館司書の持たなければならない役割とは何なのか。これは以前の"IFLAインターネット宣言"の記事に書いたことの繰り返しではあるが、このことをしっかり考えつつこれらの事柄に関わっていく必要があるだろう。 
 

2004.12.26

[資料紹介]『これからの図書館員のみなさんへ』

 少々古い話ではあるが、ブログ『日本の図書館はもっと良くなる』に「本の力で負担を減らす」という記事が掲載されていた。新潟県中越地震を受け、被災者に対する図書館での支援の可能性として、地震関連の本、地震体験者の本、地震から立ち直った人が書いた本、サバイバルの本、DIYの本等の書誌を提供したり、実際の資料を提供することを挙げていらした。とてもすばらしい提案だったと思う。

 上記の記事を読みながら、昔出会った資料を思い出したので、今回はその資料のことを取り上げる。タイトルは『これからの図書館員のみなさんへ』、著者は日本図書館協会の理事長をされている竹内さとる先生--"さとる"は"折"の下に"心"--である。

    これからの図書館員のみなさんへ 現場の役には立たない話 竹内さとる
    矢本町(宮城県) 図書館問題研究会宮城支部 2001
    (図書館問題研究会宮城支部かばねやみブックレット 2)
    目次:
    0.はじめに
    1.事務局からの手紙
    2.図書館とは何か
    3.図書館で働く自分
    4 利用者への信頼と期待
    質問
    あとがき

 複雑な現在の社会にどのように対処していくべきなのか等の事柄に対して、管理人はこのブックレットから大いに示唆を受けた。また、このブックレットを手にしてとても驚いたことがある。それは、竹内先生がお話の中で紹介している、『ちょっと待って!自殺はやめて図書館へ』という、15ないし16年前のアメリカの図書館のポスターが描かれているページである。そのポスターは、Anne F. Roberts著"Library instruction for librarians"(Libraries Unlimitedより1982年刊行)に収録されていたものであった(p.46)。

 著作権法上の問題があるので、ここでの画像の紹介はまたの機会ということにし、言葉での説明を試みる。そのポスターには、拳銃を自らの頭に突きつけている男と、その周りにたくさんの本が描かれている。そして、キャプションには「もし自殺したいと思っているのなら、やめなさい。その代わりに図書館へいらっしゃい」と書かれている。先生のコメントにもあったが、「自殺の前に図書館にいらっしゃい」などというせりふは、図書館司書の側によっぽどの力量・自信があるから言えることだと理解している。「図書館にはガイドや書誌、類縁機関案内などがあり、図書館司書があなたの調べもののお手伝いをします。だから死ぬのはいけません」という文言もそのポスターには書かれていた。利用者が自殺を思いつめるまでに追い詰められている原因に対して、図書館として問題解決のための援助をしていこうとする姿勢には、管理人は立ちすくむ思いがした。

 このポスターと出会うことで、図書館の果たすべき役割、つまりそれぞれの母体となるコミュニティ--公共図書館だったら自治体の住民、大学図書館だったら設置大学の構成メンバー--にとって図書館は情報拠点であり続けなければならないのだということを再確認することができたと管理人は理解している。是非皆さんもこのブックレットを手にしてみていただきたい。

参考文献
Library instruction for librarians / Anne F. Roberts.
Littleton, Colo. : Libraries Unlimited, 1982
図書館学の五法則 / S. R. ランガナタン著 ; 森耕一監訳 ; 渡辺信一 [ほか] 共訳
東京 : 日本図書館協会, 1981.9

2004.12.23

[資料紹介]『ヒイラギの檻』(加筆)

ハンセン病について勉強中だというMayさんのブログ『Mayちゃんの学習帳』に、上記の書物が紹介されていた。以下のブログの「ハンセン病文学全集」」(皓星社刊)関係記事を読んだ管理人にも少し思うところがあったので、今回は表記の資料を取り上げる。著者瓜谷修治氏は元読売新聞記者で、ミニコミグループの一員としてエイズ取材に関わった後、ハンセン病の問題に関わるようになった方である。

 今回は、まず、ハンセン病のことについておさらいをしておこう。ハンセン病とは何かやハンセン病患者がどのような歴史を歩んできたのかは、是非ハンセン病資料館のサイトをそれぞれの方で訪れて頂きたい。1996年まで存在した「らい予防法」のこと、その法律のもとで、すべての患者の終生隔離という方針が採られたということ、そして、患者さんたちや元患者さんたちが味わいつくした差別のことはおさえておいたほうが良いだろう。

 つづいて、例により『ヒイラギの檻』の書誌事項である。

ヒイラギの檻 : 20世紀を狂奔した国家と市民の墓標 / 瓜谷修治著
東京 : 三五館, 1998.7
266p ; 20cm
注記: 参考文献: 巻末
ISBN: 4883201511

 三番目は、章立てである。

第1章 ヒイラギの檻 第2章 熱瘤   第3章 動物小屋
第4章 火傷    第5章 自治会  第6章 図書館

 東京の東村山にある多磨全生園というハンセン病療養所の入所者のお一人で、ハンセン病図書館の責任者であり、上述したハンセン病資料館での資料収集の担当者である山下道輔氏の協力を得て、著者瓜生氏は本書の筆を進めていく。本書には山下氏の実体験を元に、ハンセン病療養所というところがどういうところだったのか、どのように患者たちは扱われたのか、当時の政策はどのようなものだったのかが描きこまれている。

 また、司書である管理人が感銘を受けたことは、この山下氏が全身全霊をこめてハンセン病資料の収集に携わっていることである。ハンセン病とは、療養所とは…など、諸々のことを語る資料の収集に携わる氏の姿には、私たちも教わらなければならないものがあるのだと管理人は理解した。

 かつて、管理人と同じ職場で仕事をしていた方から、「知る」ということと「わかる」と言うことに関して次のような言葉をプレゼントして頂いたことがある。

原爆のことについていえば、投下の年月日、場所、被爆者数、歴史的文脈などを、答えることができれば、原爆について、「知っている」、一定の知識がある、と言えるでしょう。しかし、分かる、とはどういうことなのか。まとまった知識をもとに、共感したり、行動の指針を持つことができるレベルではないかと、私は考えています。

 これは何も原爆だけのことでなく、今回のハンセン病の文脈でも生きる言葉であろう。過日、管理人は上述の多磨全生園を訪ね、見学させていただいたことがあるが、その敷地内にある納骨堂の前まで来て、立ちすくんでしまったことを覚えている。読者の皆様には、ハンセン病療養所の中に納骨堂があるということがどういうことかお察しのことであろう。骨になっても外の社会に出ることができないということである。花を手向けては来たものの、それが上記の「わかる」ということなのだとは、とてもおこがましくて言えない。しかし、「わかる」ことへは「知ること」から出発するしかないのであり、その場面で「記録」の持つ意味は重要なのである。そして、私たちが関わる「図書館」という場所は、記録を扱う仕組みとして不可欠なものであり、そこで書物を選ぶことの意味は大変重いのである。

 「日々記」の記事が言うように、公共図書館と一口に言っても中央館とか分館とかいろいろあって、収書方針も予算も書庫スペースも館によって異なるのだから、全ての館で買えというのは乱暴である。だから、求められるのは、それぞれの館がそれぞれの館の状況に応じてしっかり本を選び、それを図書館システム(館種を超えた…)の中で相互協力をしながら利用していくと言うことであろう。自らが身を置く社会での図書館の役割、そして図書館で記録や情報を収集・提供することの役割は何なのか。この本からもそのことを勉強させていただいたと管理人は理解している。もしよろしければ、皆さんも、正月にでもこの本を手にとって見てはいかがだろうか。

続きを読む "[資料紹介]『ヒイラギの檻』(加筆)" »

2004.12.21

[資料紹介]『自分で調べる技術』

 「あっかんべぇ」などあちこちのブログで『岩波アクティブ新書』終刊のニュースが取り上げられていた。なかなか面白い企画の本も多かったので管理人としても少々残念ではある。

 今回はその『岩波アクティブ新書』の中から一冊取り上げたい。タイトルは『自分で調べる技術』、著者宮内泰介氏は北海道大学の教員である。

   自分で調べる技術 : 市民のための調査入門 / 宮内泰介著
   東京 : 岩波書店, 2004.7
    vi, 199p ; 18cm. -- (岩波アクティブ新書 ; 117)
   注記: 参考文献・ホームページ: p193-195
   ISBN: 4007001170

 例によって章立てを少し紹介する。

   1 市民が調査をするということ
   2 資料・文献調査
   3 フィールドワーク
   4 まとめかたとプレゼンテーション
   5 最後に--市民調査を組織しよう

 これをみていただくと、どこにでもある調査法の教科書に思う方も多いことだろう。管理人がこの本について注目すべきだと考えている点は、市民たち自らが、この社会で生きていくにあたり、「自分たちが自分たちのことを決めるという、言ってみれば当たり前のこと実現していくために」、自分自身で調査をしてみようとことを御主張され、この本を出版されたということである。

 私たちの生活に必要となる情報を、私たちがこの社会で生き抜くために自分たち自身で調査していくこと。これは、社会がより激しく変化していくこれから、さらに求められていく技量であろう。そして、資料や情報と利用者とを結び付けていく図書館に関わるものにとっても、これからますますそのことに考慮を払わなければならなくなるであろう。この資料は、そのような、私たちの生活と情報とのかかわりにとって、大切な示唆を与えてくれるものだと理解している。

 皆さんも、お手すきのときにこの本を手にとられてはいかがだろうか。

2004.12.06

図書館業務委託問題交流集会のお知らせ

 より良い練馬区の図書館をつくる会主催で「図書館業務委託問題交流集会」が行われます。かなり間近ですが、ご都合の付く方是非ご参加ください。

「図書館業務委託問題交流集会」のお知らせです。
  日時 2004年12月9日(木) 18 : 30~21: 00
  場所 石神井庁舎5階会議室
     (西武池袋線石神井公園駅南口下車徒歩5分)

「図書館のカウンターってどんなところ?」
  お話:「図書館の仕事はカウンターから」  西河内 靖泰氏(荒川区南千住図書館)
  報告:「カウンターが委託された現場では? 那須野 学氏(板橋区高島平図書館)
  発言:「私たちがカウンターに望むこと」  練馬区の図書館利用者

主催 よりよい練馬区の図書館をつくる会
後援 練馬区職員労働組合
   練馬区図書館分会
   練馬区立図書館協力員労働組合

2004.12.05

[資料紹介]『希望格差社会』

 今回は山田昌弘著『希望格差社会』を取り上げよう。著者は東京学芸大学の教員(社会学)である。著者はあとがきに「…しかし…司書…を目指す者…などは、相当苦戦している。…各種試験(…司書…等)を何年も受け続けている卒業生などを見ていると、…学生を受け入れる社会の側に変化が起こっていることを実感すると同時に、悲しさがこみ上げてくる」と記しているが("…"は管理人による省略)、この本は、その想いをこめた、大学教育現場発の渾身のレポートである。

    希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く 山田昌弘著
    東京 筑摩書房 2004.11
    ISBN4-480-8630-5

 希望格差社会とは何か。カバーに記された定義によると、リスク社会日本において、「勝ち組」と「負け組」の格差がいやおうなく拡大する中で、「努力は報われない」と感じた人々から希望が消滅し、将来に希望が持てる人との間に分裂が生じる、そのことを言うのだそうである。

 本書の章立てを以下に記す。

    1.不安定化する社会の中で
    2.リスク化する日本社会 現代のリスクの特徴
    3.二極化する日本社会 引き裂かれる社会
    4.戦後安定社会の構造 安心社会の形成と条件
    5.職業の不安定化 ニューエコノミーのもたらすもの
    6.家族の不安定化 ライフコースが予測不可能となる
    7.教育の不安定化 パイプラインの機能不全
    8.希望の喪失 リスクからの逃走
    9.いま何ができるのか、すべきなのか

 図書館の世界を振り返ると、周知のとおりまさに職業の不安定化を地で行く世界になっていると言わざるを得ない。今若い人たちが図書館で仕事をしようとすると、委託先社員としてなど、不安定な立場で働かざるを得ない場合が多くなっている。それは働く人たちにとって良いはずはないし、サービスを受ける立場の市民にとっても良いはずはないのである。

 さて、それならばどうするか。「希望を失わない」と言うことを大前提として、著者の記すように「公共的取り組みの再建」あるいは「速やかなる総合対策」が求められているのだと言えよう。当然、「公共的取り組み」の内容は職種等によって異なるわけであり、私たち図書館でもしっかりとした取り組みが早急に求められていることは言うまでもない。
  
 私たちの取り組みにとっても、この本は様々な示唆を与えてくれるものだと管理人は理解している。もしよろしければ、機会があったら本書を手にとってみてはいかがだろうか。

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