[資料紹介]『希望格差社会』
今回は山田昌弘著『希望格差社会』を取り上げよう。著者は東京学芸大学の教員(社会学)である。著者はあとがきに「…しかし…司書…を目指す者…などは、相当苦戦している。…各種試験(…司書…等)を何年も受け続けている卒業生などを見ていると、…学生を受け入れる社会の側に変化が起こっていることを実感すると同時に、悲しさがこみ上げてくる」と記しているが("…"は管理人による省略)、この本は、その想いをこめた、大学教育現場発の渾身のレポートである。
希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く 山田昌弘著
東京 筑摩書房 2004.11
ISBN4-480-8630-5
希望格差社会とは何か。カバーに記された定義によると、リスク社会日本において、「勝ち組」と「負け組」の格差がいやおうなく拡大する中で、「努力は報われない」と感じた人々から希望が消滅し、将来に希望が持てる人との間に分裂が生じる、そのことを言うのだそうである。
本書の章立てを以下に記す。
1.不安定化する社会の中で
2.リスク化する日本社会 現代のリスクの特徴
3.二極化する日本社会 引き裂かれる社会
4.戦後安定社会の構造 安心社会の形成と条件
5.職業の不安定化 ニューエコノミーのもたらすもの
6.家族の不安定化 ライフコースが予測不可能となる
7.教育の不安定化 パイプラインの機能不全
8.希望の喪失 リスクからの逃走
9.いま何ができるのか、すべきなのか
図書館の世界を振り返ると、周知のとおりまさに職業の不安定化を地で行く世界になっていると言わざるを得ない。今若い人たちが図書館で仕事をしようとすると、委託先社員としてなど、不安定な立場で働かざるを得ない場合が多くなっている。それは働く人たちにとって良いはずはないし、サービスを受ける立場の市民にとっても良いはずはないのである。
さて、それならばどうするか。「希望を失わない」と言うことを大前提として、著者の記すように「公共的取り組みの再建」あるいは「速やかなる総合対策」が求められているのだと言えよう。当然、「公共的取り組み」の内容は職種等によって異なるわけであり、私たち図書館でもしっかりとした取り組みが早急に求められていることは言うまでもない。
私たちの取り組みにとっても、この本は様々な示唆を与えてくれるものだと管理人は理解している。もしよろしければ、機会があったら本書を手にとってみてはいかがだろうか。

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