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2004.12.23

[資料紹介]『ヒイラギの檻』(加筆)

ハンセン病について勉強中だというMayさんのブログ『Mayちゃんの学習帳』に、上記の書物が紹介されていた。以下のブログの「ハンセン病文学全集」」(皓星社刊)関係記事を読んだ管理人にも少し思うところがあったので、今回は表記の資料を取り上げる。著者瓜谷修治氏は元読売新聞記者で、ミニコミグループの一員としてエイズ取材に関わった後、ハンセン病の問題に関わるようになった方である。

 今回は、まず、ハンセン病のことについておさらいをしておこう。ハンセン病とは何かやハンセン病患者がどのような歴史を歩んできたのかは、是非ハンセン病資料館のサイトをそれぞれの方で訪れて頂きたい。1996年まで存在した「らい予防法」のこと、その法律のもとで、すべての患者の終生隔離という方針が採られたということ、そして、患者さんたちや元患者さんたちが味わいつくした差別のことはおさえておいたほうが良いだろう。

 つづいて、例により『ヒイラギの檻』の書誌事項である。

ヒイラギの檻 : 20世紀を狂奔した国家と市民の墓標 / 瓜谷修治著
東京 : 三五館, 1998.7
266p ; 20cm
注記: 参考文献: 巻末
ISBN: 4883201511

 三番目は、章立てである。

第1章 ヒイラギの檻 第2章 熱瘤   第3章 動物小屋
第4章 火傷    第5章 自治会  第6章 図書館

 東京の東村山にある多磨全生園というハンセン病療養所の入所者のお一人で、ハンセン病図書館の責任者であり、上述したハンセン病資料館での資料収集の担当者である山下道輔氏の協力を得て、著者瓜生氏は本書の筆を進めていく。本書には山下氏の実体験を元に、ハンセン病療養所というところがどういうところだったのか、どのように患者たちは扱われたのか、当時の政策はどのようなものだったのかが描きこまれている。

 また、司書である管理人が感銘を受けたことは、この山下氏が全身全霊をこめてハンセン病資料の収集に携わっていることである。ハンセン病とは、療養所とは…など、諸々のことを語る資料の収集に携わる氏の姿には、私たちも教わらなければならないものがあるのだと管理人は理解した。

 かつて、管理人と同じ職場で仕事をしていた方から、「知る」ということと「わかる」と言うことに関して次のような言葉をプレゼントして頂いたことがある。

原爆のことについていえば、投下の年月日、場所、被爆者数、歴史的文脈などを、答えることができれば、原爆について、「知っている」、一定の知識がある、と言えるでしょう。しかし、分かる、とはどういうことなのか。まとまった知識をもとに、共感したり、行動の指針を持つことができるレベルではないかと、私は考えています。

 これは何も原爆だけのことでなく、今回のハンセン病の文脈でも生きる言葉であろう。過日、管理人は上述の多磨全生園を訪ね、見学させていただいたことがあるが、その敷地内にある納骨堂の前まで来て、立ちすくんでしまったことを覚えている。読者の皆様には、ハンセン病療養所の中に納骨堂があるということがどういうことかお察しのことであろう。骨になっても外の社会に出ることができないということである。花を手向けては来たものの、それが上記の「わかる」ということなのだとは、とてもおこがましくて言えない。しかし、「わかる」ことへは「知ること」から出発するしかないのであり、その場面で「記録」の持つ意味は重要なのである。そして、私たちが関わる「図書館」という場所は、記録を扱う仕組みとして不可欠なものであり、そこで書物を選ぶことの意味は大変重いのである。

 「日々記」の記事が言うように、公共図書館と一口に言っても中央館とか分館とかいろいろあって、収書方針も予算も書庫スペースも館によって異なるのだから、全ての館で買えというのは乱暴である。だから、求められるのは、それぞれの館がそれぞれの館の状況に応じてしっかり本を選び、それを図書館システム(館種を超えた…)の中で相互協力をしながら利用していくと言うことであろう。自らが身を置く社会での図書館の役割、そして図書館で記録や情報を収集・提供することの役割は何なのか。この本からもそのことを勉強させていただいたと管理人は理解している。もしよろしければ、皆さんも、正月にでもこの本を手にとって見てはいかがだろうか。

(2005.01.10追記)

 2点ほど追記する。

1.『ハンセン病文学全集』に関する上記の各ブログが触れた朝日新聞の記事について、ブログ『壊れる前に…』に「図書館と啓発」という記事が掲載されている。それによると、朝日の記事では版元である皓星社の意図とは異なって伝わっているようである。詳しくは、それぞれの方で「図書館と啓発」の記事をご覧いただきたい。

2.ブログ『愚智提衡而立治之至也』に、上記記事の続編である"「売れない本」の記事続き"が掲載されている。是非ご覧いただきたい。

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