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« 変わりゆく社会に注ぐ司書の眼差し…NHK7時のニュース「裁判員制度」に寄せて | トップページ | 1万回御礼 »

2005.02.18

朝日新聞2月2日掲載「どうなる公立図書館」をめぐって思うこと-市民が本当の図書館をつくるために-

池沢昇(東京の図書館をもっとよくする会事務局長)

 朝日新聞は2月2日「どうなる公立図書館」のタイトルで、紙面半面を使って「民営化の現場」を報道した。記事は、鈴木京一名の署名記事である。
 記事前文は「民営化の現場」の見出しで、次のように述べている。
「公立図書館の民営化が広がり、指定管理者制度で館ごと運営するNPOや企業が登場してきた、民間委託で図書館はどう変わるか、サービスや働く人の労働条件はどうなるのか、現場を訪ねた。」
 しかし、本文は、山梨県山中湖村、東京中野区、北九州市の図書館を受託(受任)しているNPO3社と民間企業1社の紹介を行い、それら4社の責任者のコメントを紹介することに終始している。図書館がどう変わるのか、サービスや働く人はどうなるのか、4社責任者の口を通じて語られる。図書館運営を受注し、自治体から収入を得ている会社責任者の「民営化は良いことだ」という声である。しかし、利用者や図書館に働く人の声はどこにもない。この記事は民営化の宣伝である。
 記事の内容はたいしたものはない。しかし、朝日新聞という名から、「民営化は良いことだ」と思う人が全国的に出てくるだろう。これまで、私たちの会が、図書館が市民に役立つものに変革することを願い、図書館委託に反対を表明してきたことの社会的責任から、この記事について思うことを述べる。

1.「本物」の図書館を持つために
 自分の住む家を買うとき、販売業者や建築業者あるいは新聞記事のように見える全面広告を鵜呑みにすることはしない。安くて質のよい物件があれば、安物の危険な建材を使っていないか、砂上や有害廃棄物の堆積の上に建っていないか、調べてみる。図書館の場合も同じである。買い手は行政、販売・建築業者は受託(受任)会社ではない。買い手は市民、販売業者は行政、建築会社は受託(受任)会社である。販売業者と建築会社の全面広告を、新聞記事に見えるようにして掲載したのが朝日新聞である。
賢い買い手であるためには、情報化社会の中の生涯学習の中核施設として図書館が成立する要件を次の3点に絞り、民営化によって優れたサービスを提供することが可能か、手法として優れているのか、つまり記事の真偽を問わなければならない。
 第1の要件は、図書館を安定的に運営するための経費は公的に保証される必要があるということである。税金で維持されなければ、公共図書館の維持経営はきわめて困難である。
 第2は、館長以下の図書館員に、図書館と資料・情報についての知識と熱意を持つ人間を配置し、養成する制度が整備されているということである。
 第3は、権力者の好まないものでも市民に提供できるように、行政等から相対的な独立を保つこと、また、図書館が独善的な運営に陥らないように、市民が意見を反映できる仕組みを制度として存在させるということである。

2.公費で図書館運営がされるということ
 第1点は、委託であろうと指定管理者であろうと、税金によって運営されることには変わりはない。ただし、行政予算の中の図書館に支出する経費は、委託等によって絶対的にも相対的にも減少する。このことが図書館の将来にとってプラスとは思えないが、今回問題とすべき範囲ではない。焦点となるのは、第2点と第3点である。

3.図書館サービスを担う専門的知識を持つ職員を確保すること
 第2点は、民営化によって、図書館や資料・情報について専門的知識を持つ集団が図書館を運営することが実現するのか、その方向に前進するのかということである。
 最近司書資格者を中心にしたNPOが生まれ、これまでの民間企業を中心としたものと異なるので、分けて述べる。
 当記事にも紹介されている北九州市立図書館3館の指定管理者となる図書館流通センター(以下、T社)は、 受託図書館数のもっとも多い会社である。T社は図書館の専門業者を標榜し、早い時期から図書館を委託するよう行政に働きかけたパイオニア企業である。その受託経営の方法は他の企業とほぼ同様である。図書館に配置する社員はチーフ・サブチーフと呼ばれる責任者を置き、その他はすべてパート社員と呼ばれるアルバイトである。時給800円台、社会保険料を会社が払わなくともすむように、多くのアルバイトを使って短時間勤務させる。月収は9万円と言われる。図書館に責任者として配置されるチーフであっても時給1000円と言われる。8時間20日働いて月16万円程度にしかならないが、税金や社会保険などはここから引かれる。自活できる給料ではない。図書館に熱意があっても、より良い条件のところに替わっていく。
 当記事に「書籍データベースを構築した経験をレファレンス業務などに生かせる」とT社会長の言葉を紹介する。書籍データ構築を経験した社員を受託館に配置すれば、その言を一概に否定できない。しかし、受託が決定してから、「経験不問」「司書資格不問」「時給800円」の新聞折込チラシの募集で集めた大量のアルバイトが図書館や資料についての知識を持っているとは、普通には考えられない。
 責任者として現場を切り回すチーフは、ほとんどが図書館非常勤やアルバイトとして、図書館で働いていた人たちである。図書館専門業者を標榜するT社でさえも、図書館経営能力を持っていないので、スタッフ募集で集めた中から責任者を選ぶのである。さらに、多くのアルバイトを採用するので、考えられないような問題も起こす。今から2年少し前、江東区の図書館で、T社社員が個人情報を不正使用した事件が新聞全国版でも報じられた。それによれば、図書館に配置されたT社の社員が自分の予約するCDを早く借りようとして、不正に個人情報を引き出し、予約待ち順位1位の男性の妻を偽称して、図書館に電話した、と言うことである。これに類することがどこで起きても不思議はない。

 それでは、中野区の図書館を受託しているNPO2社について触れる。NPOはピンからキリまである。ここに述べることは他のNPOにはあてはまらない。このNPO2社は、非常勤として長い図書館経験を持ち、図書館に働くことに熱意を持つ司書を中心とした専門家集団である。このことは、私たちが求めてきたものに合致する。その活動も企業が受託(受任)するところとは歴然と異なる。
 しかし、問題も抱えている。1つは、年度契約なので次年度も継続して受託できる保証がないこと、1つは、中心メンバーさえ図書館非常勤の時よりもさらに時間単価は安く、低水準の労働条件下にあることである。
 さらに、不安定さを増すのは企業との関係である。行政から受託(受任)企業に支払われるほとんどが図書館に配置される人の賃金である。ところが、受託(受任)企業は、低賃金アルバイトを採用し、半分の賃金しか支払わないから、その「ピンはね」で膨大な利潤を上げる。中野のNPOは、一定水準を持つ人間を確保するために、恐らく受託料のすべてを賃金に回さざるを得ないだろう。市民の目から見れば優劣が明らかである。だから、民間企業からみれば最も危険な競争相手になる。NPOを排除しようという動きが出てくるのは必至である。最近、2自治体以上数館以上の受託実績など、受託できる条件とする自治体がいくつか出ている。安定性のある受託先を求めるかのようにも見えるが、NPOは排除される。しかも、この条件に合致するのはT社ほか数社である。競争相手は排除され、この数社は宝の山を手に入れる。

4.行政からの相対的独立性を保つこと、市民がコントロールできること
 まず、市民のコントロールは利かなくなる。自治体と民間団体(企業)との契約で行われ、それによって委任されたものについては、行政・議会であろうと介入できない。もともと、指定管理者制度・委託・民営化は、民間企業に図書館や保育園を市場として開放(提供)するための国家政策として進められているので、民間企業の手足を縛るような思想は存在しない。市民によるコントロールなど、ほとんど契約に入ることはないだろう。
 行政も議会もコントロールできないのだから、図書館の独立性はより高まるかというと違う。二つの相反することが起きてくることが想定される。一般的に起きてくることは、図書館が行政側への従属を強めることである。受託(受任)側は、契約からはずされことを恐れ、行政や議会の顔色をうかがって自己規制をする。行政や議会多数派が好ましくないと思う本が図書館から排除されることが当然に起きてくる。自己規制は、競争が激しくなれば、いっそう進行する。図書館の死である。
 NPOが図書館をどんなに大事に思っても、上記のことから逃れることはできない。行政の意に逆らって、市民のサイドに立って図書館の理念を貫けば、当然に契約から外される。契約できなければ、全員が職を失う。選択の余地はない。
 受託(受任)する側が、首長の親族や土地の有力者が関係している場合は、逆なことが起きることもある。そこが眼に余る運営を行っても、市民も行政もコントロールできないと言う事態も生じるだろう。

5.山中湖情報創造館のこと
 最後に、当記事の冒頭に紹介される山中湖情報創造館に触れる。より正確に言えば、記者がもっとも力を入れた箇所であるにもかかわらず、舌足らずのためか、誤りがあるためか、意味をとりかねるので、そのことについて述べる。
 第1は経費である。年間予算(前後の文脈から村からの受任料と見える)は1500万円、人件費は1250万円、職員7人、週休2日、1日6時間の短時間勤務、ほかでも仕事したりしているので短時間勤務をメリットとしている、とある。これを事実とすれば、職員1人当たりの平均年収は180万円である。これから税金等は引かれるだろう。残りの生活費を1日2時間で捻出するためには、よほど実入りの良い仕事があるか、働かなくとも十分な収入が得られなければならない。記事に何かの間違いがあるのではないか。
 第2は、図書館協会常務理事大橋氏の「低賃金で継続して働くのは難しい。契約期間が終われば別団体に替わることもあり、継続性に不安がある。行政直営を原則にすべきだ」との民間委託「批判」に、「人々にとって図書館が本当に必要なら、住民らが自分たちでつくるくらいの気概が必要」との小林氏の「反論」を紹介する。読めば分かるように、この「反論」は的外れも甚だしい。私は、小林氏の講演を聞いたり、書いたものを読んだりしている。このような論理的に反論になっていないものを、「反論」と言うとは思えない。奇妙なことだ。
 小林氏の「住民らが自分たちでつくるくらいの気概が必要」と述べていることは、図書館の本質に触れる大きな含みを持っているように思える。最後で、その言葉に触発されて思うことを述べたい。

6.民営化の背景
 私たちは、東京の図書館の発展を求め活動してきた。特に、東京23区については、司書を採用せず、事務職員を4~5年間図書館に配置することを繰り返していることに対し、多くの税金を使って低いサービスしか提供しない税金の無駄遣いと批判し、司書の配置を求めてきた。本を読まない、人と話すことが苦痛だと言う図書館員がいて、図書館サービスが良くなるはずがない。図書館の責任者である館長もそれを免れない。このことは23区にとどまらない。一部を除いて、日本の公共図書館はまだ低いサービスにとどまっていると考えている。
 しかし、その停滞状況を民営化で変えようというのは、風邪を引いたり、足を折ったりした人に、心臓移植をするようなものだ。この心臓移植の目的は、風邪や足を治すためではなく、金儲けにある。手術する側の都合で行うのである。風邪はなおるだろうが、命は危うい。
 先に述べたように、指定管理者制度・委託は、図書館や保育園など公が担ってきたものを、民間企業に市場として開放するための国家政策として進められてきた。03年12月3日、「図書館、市場規模は2倍強」のタイトルで日経新聞は、市場としての図書館の記事を掲載した。首都圏の自治体には970の図書館があり、民間委託の市場規模は5年後には94億円に拡大するとし、さらに、教育委員会が選んだ館長の配置義務や選書など基幹的な業務は行政が担うことになっていることなどが全面委託を難しくしているので、いっそうの市場拡大には法制度の見直しが必要だ、と述べた。国は産業界の要請にこたえ、法制度を見直し、「全面委託」をできるようにした。
 図書館に専門非常勤を採用するほうが、委託や指定管理者制度よりも、ピンはねがないので経費的にも安くなるし、アルバイト中心でもないのでサービスも高くなる。それにもかかわらず民営化が進行するのは、このような国家政策が自治体にも浸透しているからである。
 
本当の図書館を市民の手でつくろう  
 「人々にとって図書館が本当に必要なら、住民らが自分たちでつくるくらいの気概が必要」と小林氏は述べている。しかし、「自分たちでつくるくらいの気概が必要」と小林氏は言うが、最も重要なはずの「何をなすべきか」については言及しない。「気概」だけにとどまっては、何も生まれない。本当に図書館が必要なら行動が必要だ。自分たちでつくるくらいの気概で何をしろというのだろうか。山中湖情報創造館を運営するNPOのようなNPOをつくろう、と言うことなのだろうか。あるいは、気概をもって運営する自分たちNPOにもっと多くの図書館運営をやらせろ、と言うことなのだろうか。
 私たちは、「市民が本当の図書館を必要とするなら、市民が自分たちでつくらなければならない」と考えている。本当の図書館とは、運営経費が公費によって安定的に保証され、図書館や資料・情報についての知識を持つ専門家集団によって運営され、行政から相対的に独立し、市民によってコントロールされる図書館のことである。市民によるコントロールとは、図書館運営に市民が意見を述べる場が制度的に保障され、その意見が尊重されることである。
市民が自分たちで図書館をつくるということは、主権者である市民が行政に働きかけて図書館をつくらせることであり、行政は市民の付託にこたえて、税金で図書館と言う建物をつくり、図書館を運営する能力を持つ図書館員を配置し、資料費など必要経費を措置すると言うことである。
 このような本当の図書館を私たちは求める。


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コメント

取り敢えず1点だけ.
 江東区立図書館の件ですが,これはそもそも督促業務をまったくやっていなかった職員(=公務員)の仕事振りにまず問題があったと聞き及んでいます.しかも,「予約待ち順位1位の男性」とはこともあろうにその図書館の職員であり,利用者に督促をすべき立場の職員であったと.
 これらのことを無視して,派遣社員が不正に個人情報を引き出したことのみを糾弾するのは,正規職員の堕落を免罪することに他ならず,無責任きわまりないことだと考えますが,如何ですか?

このコメントについては、投稿者の丸山高弘様より「すみません。二重にコメントしてしまいました。最初のコメントを削除してください」とのお申し出がありましたので、そのようにいたします。

  

丸山高弘@山中湖情報創造館 館長補佐でございます。
とても有意義なご意見、ありがとうございます。
新聞記事は、紙面に限りがあり、どうしても説明不足になりがちですね。よろしければ、こちらをごらんいただければ、幸いです。

山中湖情報創造館
http://www.lib-yamanakako.jp/
理解するための4つの視点
http://www.lib-yamanakako.jp/4points.html

また、賃金に関する数値には、事務分掌の内容により若干の上下はありますが、間違いはございません。あと2時間(一般的な8時間労働に対して6時間労働なのでその差分とされたのだと思いますが)とありますが、そのように考えておりません。
4つの視点の追加にあります、3x8→4x6のライフスタイルを前提としていたりもします。最終的に、生活の糧を得る仕事を何時間行うかは、個人の裁量にまかせております。
ご質問がございましたら、遠慮なくお問い合わせ下さい。
では、では。

はじめまして。hinataと申します。

山中湖情報創造館を運営していますNPO地域資料デジタル化研究会の理事を勤めさせていただいております。

さて、東京の図書館をもっとよくする会様の本記事の中で山中湖情報創造館およびNPOにつきまして言及されていましたので、記事を読まさせていただきました。
山中湖情報創造館の現状につきましては丸山の方よりコメントさせていただきましたので、hinataの方は記事の中で示唆に富む部分がございましたのでコメントさせていただきます。

記事の中で図書館が成立する3点要件として以下をあげられていました。
>第1の要件は、図書館を安定的に運営するための経費は公的に保証される必要があるということである
こちらにつきましては現在全国的に行政改革の流れがございまして、国、および地方すべてにおいて経費の削減が急務となっております。行政の貯金たる基金を取り崩す予算がそちらこちらの地方自治体(たとえば山梨県)にて作成されている現在、経費の削減は避けて通れません。たとえば山梨県では山間地を抱える地理的条件、東南海地震の防災強化指定地域、富士山などがあり、どうしても防災関係の予算は膨らみがちとなります。また県内には過疎地、山間部落も多く、行政経費が都市部にくらべ人口比どうしても高くなってしまいます。これらの状況により、図書館などの予算につきましても削減第一となってしまいます。hinataも山梨県民、また市民として図書館をはじめとした生涯学習施設に十分な予算配分を求めるものではございますが、どうしても老人福祉や社会福祉へ予算が重点的に配分されることは避けられないと理解しております。
このような状況の中、せめて現状の予算枠を確保(これも不可能ですが)し、そのなかで多様なサービスを心がけて生きたいと思います。

> 第2は、館長以下の図書館員に、図書館と資料・情報についての知識と熱意を持つ人間を配置し、養成する制度が整備されているということである。
2点目に付きましてはまったく賛成いたします。図書館に勤めることは非常に高度な情報収集および分析能力を備え、かつサービス業としてのサービス精神およびサービススキルを持たなければなりません。これらに付きましては勤続後も継続して研修、学習をおこなっていかなくてはならないことと存じております。
東京の図書館をもっとよくする会様の論旨および他の記事から推測いたしますところ、職員として身分保障されました公務員を配属することにより、この継続的な研修、学習がおこなえるということではないでしょうか。(間違っていたら申しわけございません)
こちらに関しましては推測をもって反論させていただきますことをご容赦くださいませ。問題がありましたらコメントを削除していただきましてかまいません。
まず身分保障されました公務員職員は継続的な研修、学習をおこないますでしょうか。身分保障があるため研修、学習をおこなわなくても図書館に勤めることは可能です。また勤続した後、先ほど述べさせていただきました必要な能力が欠けた場合は解雇できますでしょうか?これら能力のない職員が身分保障を盾に退職まで(30年から40年程度)勤めた、また現状の終身雇用、年功序列の制度の中では図書館の中核ポストにつくことになりますが、これで図書館が良くなるのでしょうか。
NPO職員は身分は確かに不安定です。常に自分の能力や仕事の結果が監視されております。このようなストレスがあったほうが研修、学習によって自己の能力を養うのではないのでしょうか。
この辺の実例については、「国鉄」ー>「JR」、「電電公社」->「NTT」の実例により、実際に国民が受けるサービスは良くなった面(特に窓口や接客など。管理面については問題があるかもしれません)がございます。ぬるま湯からでて北海道の原野で鉄道員をする勇気がございますか。
(ちなみにhinataは来年度より社会人入学にて大学院に進学します。これについて数百万の借金を抱えます。)

> 第3は、権力者の好まないものでも市民に提供できるように、行政等から相対的な独立を保つこと、また、図書館が独善的な運営に陥らないように、市民が意見を反映できる仕組みを制度として存在させるということである。

第3点に付きましても賛成でございます。記事にありますようなことに留意いたしまして、経営をおこなっていきたいと考えております。ご存知の通り、NPOの会員にはどなたでもなることが可能です。もっと村民の皆様にNPOの趣旨にご賛同いただき、会員として活躍していただきたいと存じます。NPOは株式会社などと違いまして出資額や持ち株数によりまして発言権や議決権が変わるわけではございません。総会での議決権は一人一票であり、これは理事長および理事も変わりございません。1誰でも参加できる。2総会議決権は一人一票。このあたりが株式会社や地方自治体が経営する図書館とは一線を画すところと自負しております。
つまり一人一票ですが直接図書館の経営に参加することが可能です。地方自治体経営の図書館では、主に議会や図書館協議会といった代表により市民の声が反映されております。しかし議会と市民の意識の乖離がございましたり、図書館協議会が教員退職者のローテーションで埋められてしまったりと制度的に問題が発生しております。これらを補完する一助としてNPOが経営に参加することは有意義と考えております。NPOが議会や村、また図書館協議会的な機関を無視することがないよう自戒して参りたい所存です。

一つ、これだけは誤解のないように願います。民間企業、NPOは契約を絶対視します。契約内容から外れることは決してないようにいたします。また、企業の社会的責任、社会的倫理も企業の生存をかけて非常に重要と考えております。これにつきましては三菱ふそうトラック社様や雪印食品様などがどのようなペナルティを払わされたかによって説明できると考えております。記事内でのT社様の件についての言及につきましてはこれらの企業姿勢、社会的情勢を無視したものと写る場合がございますことだけはご理解いただきたいと存じます。

一方、公務員の汚職や不祥事などが後を絶ちませんが、これらの公務員およびその公務員を雇っていた行政機関、地方自治体はどのようなペナルティを払ったのでしょうか。雪印食品は食材の偽装などにより会社が解散となりました。この中でまったく関係のない職員も解雇となりました。社会保険庁や神奈川県警、文部科学省や外務省はどのようなペナルティをおったのでしょうか。機関をなくすことはできませんが、職員の総入れ替えなどはおこなうべきではないでしょうか。
少なくとも税金を扱っているセクターは他の企業よりも厳しくして当然と考えております。
公務員バッシングは決して根拠のない底の浅いキャンペーンでないことをご理解ください。税金を払いたくなるようにお願いいたします。

hinataさまのご意見に触発され、私の考えを述べさせていただきたいと思います。

>NPO職員は身分は確かに不安定です。常に自分の能力や仕事の結果が監視されております。このようなストレスがあったほうが研修、学習によって自己の能力を養うのではないのでしょうか。

 私も3年間公共図書館で働きました。(現在では派遣会社の所属)
 確かに公務員に限らずと司書は微温湯に浸っている人も多いのは事実で。この人の仕事振りで司書全般の評価をされたのではたまらん、と感じる人も多い。
 結果についての厳しい評価と不断の自己研鑽は、司書にとって必要不可欠であると思います。
 ただ、その厳しさは身分の不安定さだけから来るものとは思いません。安定した身分保障のにたってさらに高い成果をあげることは必ずしも不可能ではないと思います。(そうでなければ日野や浦安の事例はどう考えたらいいのでしょうか?)
 不安定な身分は、個人の生活にも影響をもたらすでしょう。仕事に対するストレスと生活に対するストレスが同時発生するのは好ましい状況ではないのではないでしょうか。ある程度安定した身分はやはりあったほうがいい。その中で、司書のレベルアップと能力の無い司書の処遇をどうするかということを考えるのが重要なのだと思います。
 NPOは確かに選択肢のひとつではありますが、司書の姿勢と評価に限れば、公務員=身分保障=自己研鑽しない、NPO=不安定な身分ときびしい評価=不断の自己研鑽、というのも少々安易な図式のように思います。

>ぬるま湯からでて北海道の原野で鉄道員をする勇気がございますか。
(ちなみにhinataは来年度より社会人入学にて大学院に進学します。これについて数百万の借金を抱えます。)

失礼ながら、この辺は論旨が飛んでしまっているのではないかと思いますがいかがでしょう?
 重要なのは大学院で学ばれた結果と、それを仕事にどうフィードバックされるかであって、進学の決断と財政のリスクの件は、現時点で討論には関連が無いように思います(個人的に賞賛されることはあっても)

> 片隅の司書 さん
hinataさんの
「NPO職員は身分は確かに不安定」
ということについて、さらに追加します。

「職員の身分を不安定にしているNPOが多い」
のが事実です。

単純にNPOといえば、公益法人から任意団体まで様々ですが、職員の身分保障も生活保障もきちんとしているNPO=非営利活動団体(公益団体)も数多いのです。※まぁ、公益法人の中には天下りの受け皿になってしまっているところもあるようですが...※
 日野市や浦安市のように、いってしまえば「トップ(たぶん館長)」の有り様で、職員のモチベーションは変わると思います。その「トップ」の据え方に、行政サイドで問題はないのかなぁ、と思うのです。現場でいくらやる気のある職員であっても、館長が図書館のトの字もしらないような人が異動してくることも、とても多いと伺っております。

【追加】どうして、図書館の館長は司書でなくてもよいのでしょうか?(相応の技量を熱意を持っているならまだしも...)
これって、病院の医院長は医師免許を持ってなくても良い..っていうくらい《驚愕!!》ってことではありませんか。そういう人の下で働く現役の司書さんが、己のモチベーションを維持するのって...すんごく至難の技だと思いませんか?

hinataです。

他所のブログなので、コメント同士で会話しますと失礼かも知れませんがご容赦ください。

>片隅の司書さま
> NPOは確かに選択肢のひとつではありますが、司書の姿勢と評価に限れば、公務員=身分保障=自己研鑽しない、NPO=不安定な身分ときびしい評価=不断の自己研鑽、というのも少々安易な図式のように思います。

公務員=身分保障=自己研鑽しないというhinataのコメントについては確かに安易かもしれません。コメントにも断りましたが、これはあくまでも推測です。正確に推測するなら、そのような公務員が出るかもしれない、ということになると思います。
一方、NPOに関しましては、丸山の方からもございましたとおり、NPO=不安定な身分ということもまた、すべての場合で成立するとはいえないでしょう。たとえば指定管理元の自治体が潤沢に資金をだせる場合や、収益事業がうまくいっているNPOでしたらある程度安定した身分があるかもしれません。
ただ、「不安定な身分」「安定した身分」ということが公務員との対比でおこなわれるのでしたら、公務員以外は身分保障が法律で定められておりませんので、すべて不安定な身分ということになります。経営が苦しくなったり、能力がたりなければ会社でもNPOでもNGOでも身分は完全に保障できません。もちろん私たち経営側はできる限りの能力を用いて、できうる限り安定した身分を保障できるように努力いたします。理事でも能力がなければ総会で解任されますので。

また、きびしい評価=不断の自己研鑽の部分については、hinataは評価の公正性という点で問題があるかもしれませんが、この図式は100%成立すると考えております。不断の自己研鑽ができない、もしくはしたくなければ、市場から退場(辞職)しなければならず、これらの図式にはのらないでしょう。

NPOとしましては評価の公正性を保たなくてはならないと片隅の司書さまのコメントより示唆をいただきました。

鉄道員うんぬん、大学院云々はまったく論旨に必要ないですね。お詫びいたします。

もしよろしければ「未来図書館」というブログを出してますので、そちらもご覧になってください。
http://future-library.cocolog-nifty.com/futurelibrary/

では東京の図書館をもっとよくする会様、勝手にコメント欄で会話しまして申しわけございませんでした。何かありましたら、ご遠慮なくおっしゃってくださいませ。

G.C.W.氏へのおこたえ
           池沢昇(東京の図書館をもっとよくする会・事務局長)

 最初に拙文に、ご意見をお寄せいただいたことへのお礼とお返事が遅くなりましたことへのお詫びを申し上げます。簡単に考えをまとめました。舌足らずで意を尽くせないところや、粗い表現のままになっていることをお許しください。また、省略してGと文中で記させていただきます。無礼の段お許しください。「とりあえず1点」と述べられていましたので、次を待つことにいたします。

1.まず最初に述べたいことは、私は、事件を起こした「派遣社員」を「糾弾する」と読み取れるようには書いていないことです。私は、受託企業が社員を採用する方法を述べ、このようなやり方をすればどこで問題が起きても不思議はないという文脈の中で、新聞報道をもとに江東区の事件を紹介したものです。このことについて、ご確認いただきたいと思います。
 さらに言えば、この「派遣社員」はその責任をとらされたのですから、それを追い討ちするようなことはなすべきことではありません。しかし、この事件について責任を負うべき立場にありながら、あたかも被害者であるかのように見せかけているものについては、その責任を追及したい気持ちです。

2.事件の原因は、督促をしなかった正規職員の仕事振り(堕落)にあるという説は、この事件が新聞報道されてから、裏で噂として流れたと聞いています。私はその内容について知りません。恐らく、当該事件の発端となった正規職員を貶めることで、事態をすり替えようとしたグループがあったのだろうと思います。姿を隠して鉄砲を背後から撃つのは、非常に有効な手段であるからです。今回、暗闇に跋扈していた話しが表に出てきたのですから、明るいところで論議したいと思います。どうして風が吹いたために桶屋が儲かるようになったのか、その因果関係が分かりません。教えてください。説明していただけたら、私の考えを述べます。

3.江東区で図書館流通センター(以下T社)社員が起こした事件を最初に報道したのは「都政新報」という都区政を扱う業界紙で、続いて大新聞の全国版も報じました。それらによれば、「図書館に配置されたT社の社員が自分の予約するCDを早く借りようとして、不正に個人情報を引き出し、予約待ち順位1位の男性の妻を偽称して、図書館に電話した。ところが、偶然電話に出た図書館職員がその男性自身であったことに端を発して、このことが図書館内で発覚した」ということです。(このようなことに巻き込まれなければ、彼は恨みも買わず、「堕落した正規職員」にならなかったはずです。)「都政新報」記者が委託の記事を取るために江東区図書館行政責任者の中央図書館長にインタビューしたところ、こともあろうに館長がこのことを喋ってしまったのでスクープされ、江東区の図書館内から全国的に知られることになったのです。この館長は、委託に関して事実と異なることを外部に喋ったら処分する、と職員に言っていた方です。この記事の信憑性は高いのです。

4.「私たちは、東京の図書館の発展を求め活動してきた。特に、東京23区については、司書を採用せず、事務職員を4~5年間図書館に配置することを繰り返していることに対し、多くの税金を使って低いサービスしか提供しない税金の無駄遣いと批判し、司書の配置を求めてきた。本を読まない、人と話すことが苦痛だと言う図書館員がいて、図書館サービスが良くなるはずがない。図書館の責任者である館長もそれを免れない。このことは23区にとどまらない。一部を除いて、日本の公共図書館はまだ低いサービスにとどまっていると考えている。」このように私は書き、このように私は認識しています。G氏は、私に江東区のこの「堕落した正規職員」を免罪するのは無責任だと述べています。つまりこの「職員」を糾弾しろと暗に主張しています。
 しかし、先に述べた認識のもとにいますので、G氏の言うところの1人の「堕落した正規職員」だけを相手にしていればよいという安楽な立場にはいません。館長を含めてきわめて膨大な「堕落した正規職員」を追及する立場にいるということになります。①膨大な時間がとられる、②身辺が危うくなる、③問題解決につながらない、以上のことから、糾弾活動への参加は遠慮したいと考えています。
 しかし、「堕落した正規職員」を糾弾すべきとG氏が考えるなら、私に勧めずに、自身が糾弾すればよいのです。ただ、その場合は、自分の名前を明らかにし、非難すべき根拠を挙げ、糾弾しなければなりません。勇気がいります。他人を攻撃するのですから、事実に基づかず行えば逆襲されます。その勇気がなければ、姿を隠して背後から鉄砲を撃つ、という闇討ちもあります。人間であることをやめればできます。私のお勧めではありません。

5.すでに事件が起きてから2年が経過し、「堕落した正規職員」を糾弾することの必要性も薄れました。個人情報保護法も制定されました。「督促をさぼったこと」と「個人情報を不正入手・不正使用したこと」を同列に扱う勇猛果敢さはまだ残っているのでしょうか。しかし、全国の自治体が個人情報保護条例を制定していた中で、しかも、個人情報保護が大きな話題になっていた時代の中で、このような怨霊が出没したわけですから、おそらく霊魂は不滅で、別の形をとって亡霊のように出現するように思わざるをえません。

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