Google検索




  • ウェブ全体から検索
    このサイトの中を検索

カウンター


  • (2004.10.26以来)

« 図書館業務に携わる者の心理についての一考察(メモ) | トップページ | 変わりゆく社会に注ぐ司書の眼差し…NHK7時のニュース「裁判員制度」に寄せて »

2005.02.08

[資料紹介]"Australian and New Zealand Information Literacy Framework"

 知識の有無は、時によりその人の生き方をも変えてしまう。ならば、人が生き抜く力を養うために、私たちがすべきことは何だろうか。その答えへの道筋は「情報リテラシー」の育成にあるといえよう。情報リテラシー…①情報ニーズを認識する能力 ②情報の発見・獲得能力 ③情報及び情報探索過程を評価する能力 ④情報管理能力 ⑤新たな理解を生み出す能力 ⑥情報の背後にある問題を認識する能力…を身に着けるために、私たち図書館に関わる者や、社会に暮らすもの、教育に携わるものは何をすべきだろうか。

 今回は、オセアニア地区(オーストラリア及びニュージーランド)の大学図書館員が大学教員と協同してどのように情報リテラシーの育成に取り組んでいるかを振り返る意味で、下記の書物を紹介したい。

Title: Australian and New Zealand information literacy framework : principles, standards and practice / editor, Alan Bundy.
Edition: 2nd ed.
Publisher: Adelaide : Australian and New Zealand Institute for Information Literacy, 2004.
Description: 48 p. : ill. ; 30 cm.
ISBN: 192092700X

 本書によると、オーストラリアでは、現在、生涯学習者養成という観点から高等教育機関の卒業生が身に着けるべき資質について活発な議論がなされている。その資質の中には情報リテラシーの育成も位置付けられている。激しく変化する社会の中で生き抜くためには生涯教育が必須となり、そしてその方法をそれぞれが身に着けるためには情報リテラシー能力の取得が必須となっているということである。市民としての社会参加・社会的責任遂行のために、情報を使いこなす力を身に着けなければならないということである。そして、情報リテラシーは教育のすべてのレベル--初等・中等・高等・社会-で取り組んでいく必要があることも指摘されている。

 "Curriculum alignment and assessment of information literacy learning"(情報リテラシー学習のカリキュラム設定と学習効果の測定)では、情報リテラシー能力の育成のために、どのようなカリキュラムが必要なのかが概説されている。また、そこでは教員や司書を含め全教育スタッフの密接な協同作業が求められている。

 "How some Australian and New Zealand academic libraries were using the first edition of the Information literacy standards in 2003"(本書初版を踏まえた各大学での実践(抄))では、オセアニア地区の大学図書館における情報リテラシー教育の一部分が記されている。そこでは、たとえば教員と司書の共同作業の一端が示され、また、補助金交付や全学レベルでの協議、大学図書館連合体のなかでの協議などの取り組みの一端が示されている。

 そして、"Information literacy: a selective chronology 1965-2003"(情報リテラシー年代記(抄))では、情報リテラシー教育の取り組みを振り返るにあたり、特筆すべき出来事が年表にまとめられている。情報リテラシー教育にとって重要な著作が多く掲げられているが、その他にも図書館関係者がオーストラリア議会公聴会で発言したことや、大学の連合体や行政、議会によって情報リテラシーの教育における図書館の果たす役割の重要性を述べたレポートが発表されたことなどが記されている。

  振り返って、日本ではどのように取り組んでいくべきか。調べ学習等、様々な取り組みが行われてきているが、この「情報リテラシー」は、私たちがしっかりと取り組んでいかなければならない課題の一つである。多くの方にこの本を手にとって頂き、ご一緒に考えていければ幸いである。

« 図書館業務に携わる者の心理についての一考察(メモ) | トップページ | 変わりゆく社会に注ぐ司書の眼差し…NHK7時のニュース「裁判員制度」に寄せて »

コメント

トラックバックありがとうございました。
私は「情報」の教職も持っていませんし、内容もよく知らないのですが、「情報リテラシー」に関係する科目が高校の教育の中で行われることは、非常に重要だと思っています。
この科目ができたことで、情報リテラシーの重要性が生徒のみならず家族、地域社会に浸透していくといいですね。

ばろなごん様、コメントありがとうございました。
学校教員の方々も、情報教育についてはずいぶんがんばっていらっしゃるようです。Googleでゴソゴソと探してみたところ下記のブログを見つけました。これらの方々のほかにも、きっと身近なところに「手をつなぐ」ことのできるパートナーの方がいらっしゃるのだろうし、それらの方と一緒に少しずつでも歩みを進めていくことが重要になっていくのだろうと思っています。

『のーん時間』
http://chairo.tea-nifty.com/blog/2005/02/post_6.html
『今日のみやくん』
http://miyakun.txt-nifty.com/diary/2005/02/1.html
『YOSHIMAの一言日記2』http://yoshiman.cocolog-nifty.com/yoshiman/2005/01/post_16.html
『堀博文のポートフォリオ』
http://hiro-h.cocolog-nifty.com/hori/2005/02/20050209.html
『勲ちゃんのITCE仕事日記』
http://isaochan.cocolog-nifty.com/nikki/2005/01/post_18.html


上記資料の翻訳書を出版しました。

  私たちの暮らしにとって情報リテラシーとは何か--
  オセアニア地区大学図書館における取り組みに即
  して Alan Bundy他編 高橋隆一郎訳
  小金井 高橋隆一郎 2005.4

日本では「情報リテラシー」が、パソコン利用技術程度にしか捉えられていないのに対して、パソコンを使う以前に必要な、“情報”そのものに対する取り組みが必要だと思っていました。
それだけに、本書の重要性が理解できます。
さっそく、図書館にリクエストしたいと思います。

>高橋さま
翻訳書は
書名:「私たちの暮らしにとって情報リテラシーとは何か--オセアニア地区大学図書館における取り組みに即して」
著者:Alan Bundy他編 高橋隆一郎訳
出版社と、価格を教えてください。

よろしくお願いいたします。

丸山様
 関心をお持ちくださいまして、ありがとうございます。実は、この本は自費出版でして、そのために出版者のところに私の名前が入っています。

 提供方法については、別途ご連絡いたします。

 『学校図書館ブログ』中に『インフォメーション・パワーが教育を変える!』(アメリカ公教育ネットワーク、アメリカ・スクールライブライアン協会編.足立正治、中村百合子監訳.2003年)の紹介記事がありました。

http://milch.cocolog-nifty.com/slshock_top/2005/01/post_1.html

 情報リテラシー(情報活用能力)の育成は、現在、教育のすべての場面(学校・大学・社会などなど)で取り組むべき課題でありましょう。学校・大学・公共の各図書館、そしてそれらの図書館と関わりを持つ人々が知恵を出し合い、真摯に議論・取り組みを行っていくことの重要性を再確認させていただきました。

「市民の情報学」という、大変興味深いサイトを見つけました。「生活者、消費者などの市民の立場に立った情報学が必要との思いから、ただいま構想中」とのことです。社会で生き抜くための情報リテラシーの活用の重要性を軸にすえる本書を翻訳した経験上、大変共感できます。もし、よろしければ皆さんも下記サイトに立ち寄られてはいかがでしょうか。

http://www.dreamery.ne.jp/infosoc/

山形県立米沢女子短期大学廣田慈子研究室のウェブログ"Verba volant, scripta manent."で、「信頼できるオンライン情報を探し当て、その情報の裏付けを取ることができるか」などの能力を測るテストをETS(Educational Testing Service)などが中心となって開発中である旨のニュースが紹介されていました。
  「「インターネットIQ」を測るテスト、開発中」『ITmediaニュース』2005.07.04
「Information and Communication Technology (ICT)Literacy Assessment」に関する紹介記事で、情報リテラシーについて考える際に大変興味深いニュースです。皆さんも是非眼を通されるとよいと思います。

『ヨネザアドの学びの杜・遊びの海』というウェブログを紹介します。大学図書館員であり、図書館情報学教員であり、大学図書館支援機構というNPOの関係者である米澤誠さんのブログですが、このブログでも情報リテラシーに関して様々な情報が得られます。
http://blogs.yahoo.co.jp/bpxdx655

下記のとおり、拙訳を改訂しました。多くの方に手に取っていただければ幸いです。

  私たちの暮らしにとって情報リテラシーとは
  何か オセアニア地区大学図書館における
  取り組みに即して 日本語訳第2版 Alan
   Bundy他編 高橋隆一郎編訳
  東京 大学図書館問題研究会 2008

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/57889/2854654

この記事へのトラックバック一覧です: [資料紹介]"Australian and New Zealand Information Literacy Framework":

» 「私たちの暮らしにとって 情報リテラシー とは何か」 [山中湖情報創造館ブログ ]
東京の図書館をもっとよくする会さんのブログでも紹介されている 私たちの暮らしにとって 情報リテラシーとは何か −オセアニア地区大学図書館における取り組みに即して− Alan Bundy 他編 高橋隆一郎 訳 を、山中湖情報創造館の資料とさせていただきました。 ---- そうなんだよなぁ。「情報なんとか」ってつくと、なぜかパソコンの操作方法に終始してしまうんだけど、本当はコンピュータでもインターネットでもデジタルでもない、あえて言えば電波や電気通信などの技術よりも、ず〜〜〜っと前... [続きを読む]

« 図書館業務に携わる者の心理についての一考察(メモ) | トップページ | 変わりゆく社会に注ぐ司書の眼差し…NHK7時のニュース「裁判員制度」に寄せて »

無料ブログはココログ