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2005.09.24

「都立図書館改革の基本的方向(第二次都立図書館あり方検討委員会報告)」についての意見

                                 2005年9月21日
                                 東京の図書館をもっとよくする会
                                 代表 佐々木順二

 「都立図書館改革の基本的方向(第二次都立図書館あり方検討委員会報告)」(以下、「二次あり検報告」)について、「東京の図書館をもっとよくする会」の意見を述べます。

1.一次あり検報告、その具体化-都立図書館の徹底した縮小再編-について
 私たち「東京の図書館をもっとよくする会」は、2002年1月に公表された「都立図書館のあり方検討委員会報告」(以下、「一次あり検報告」)が都立図書館の組織・人員・サービスを大幅に縮小再編する政策であると考え、都議会にその見直しと開かれた場での図書館政策づくりを請願しました。2月19日の文教委員会では全委員が発言され真摯に論議頂き、採択は保留されましたが、教育庁から多くの積極的な答弁を得ることができました。
 その後、都立図書館では、私たちが危惧した管理運営が進められてきました。
 まず、一次あり検報告の“資料収蔵スペースを都立中央図書館と多摩図書館を合わせた311万冊分以上には増やさない。”“1タイトルについて1冊しか収集・保存しない。”という方針により、4年間で約31万冊の図書と雑誌が除籍されました。前記文教委員会で、教育庁は廃棄せずに再活用すると答弁しましたが、再活用は頓挫し、現在約19万冊が日比谷図書館の書庫に死蔵されています。
 また、“地域分担を廃止する”方針により、多摩図書館は独立図書館機能を廃止されました。
 第三に、日比谷図書館については、老朽化した建物を建替えて、都立図書館の収蔵能力とサービスを拡大する計画(東京都長期計画)をうやむやに凍結したうえ、児童室を多摩図書館に移転し、資料費を7割削減してサービスを縮小し遊休施設化を進めました。
 第四に、中央図書館(多摩図書館を含む。以下同じ)の資料購入費を大幅に削減しました。2004年度の資料購入予算は1億7千万円と、1998年度の四割台にまで幅削減し、出版点数に対する都立中央図書館の収集点数(収集率)は、削減前の60%台から'02年度は31%、'03年度は27%、'04年度は23%と下降し続けています。前記文教委員会で教育庁は、「原則として一タイトル一点を収集、保存とする、そういうスタンダードを設けるとともに、収集率の向上を図ってまいることにいたしたいというように思ってございます。これによって、約一〇%の収集率のアップが見込まれるものと考えてございます。」(生涯学習部長)と答弁していたにも関わらずです。
 第五に、その一方で、協力貸出の要望が強い資料は複部購入して貸出するという議会答弁は履行されていません。館長会からは協力貸出サービスのレベル維持を求める意見書が提出されています。

2.二次あり検報告について
 二次あり検報告は、一次あり検報告が打ち出した都立図書館の組織・人員・サービスの縮小再編をさらに進める施策を提起しています。
 私たちは、一千万住民と多くの在勤・在学・訪問者をもつ首都東京において、現在の都立図書館の組織・人員・サービスは不十分であり、近年、一般に紹介されるようになった欧米の図書館先進自治体の事例も参考にして、飛躍的に充実されるべきだと考えます。その立場から、二次あり検報告の次の点につき、意見を述べます。

① 都立日比谷図書館は、わが国の公共図書館を象徴する抜群の知名度をもち、都民に至便な都心に立地します。一方、中央図書館は前述の除籍を続けましたが現在ほぼ満杯です。日比谷図書館という都民の財産を廃止・区移管せず、収蔵機能、及び都立図書館として必要なITを活用した情報サービス、ビジネス支援サービス、現在の新聞雑誌サービスをさらに充実して最新情報を提供するサービス、視聴覚ライブラリー・サービスなどの展開に活用すべきです。
 日比谷図書館を地元区に移管する理由として、二次あり検報告は、1)個人貸出しは住民への直接サービスを任務とする区市町村が行う図書館サービスである、2)都と区市町村は図書館サービスを役割分担する、をあげています。
 この認識は、1996年に日比谷図書館の建替え計画を東京都長期計画に組み込んだ際に、教育庁が前提としたものと全く同じです。東京都は長期計画で、満杯になりつつあった中央図書館では困難なサービス拡充を、日比谷図書館を建替えて実現しようとしたのです。なぜ、同じ図書館機能の認識が都立日比谷図書館廃止・区移管という全く異なる結論を導くのでしょうか。二次あり検報告は、「現在の日比谷図書館は、図書の個人貸出サービスを中心に業務運営」を行っていて区立図書館と「サービスが重複」しているからだ、と説明します。しかし、'96年当時、日比谷図書館は現在の3倍以上の資料購入費をもって、はるかに旺盛に個人貸出サービスを行っていました。
 多摩地区で直接サービスを行っていた都立図書館3館(立川図書館、青梅図書館、八王子図書館)は、市町村図書館への協力とレファレンスを分担する都立図書館として立川図書館を改築・統合し、地元自治体に移管することはせず、1987年に都立多摩図書館として発足しました。
 個人貸出サービスを区市町村がどう行うかは各区市町村が判断し実施すべきことです。
東京都がすべきことは、都立日比谷図書館の知名度と立地を生かし、都立図書館として必要なITを活用した情報サービス、ビジネス支援サービス、現在の新聞雑誌サービスをさらに充実して最新情報を提供するサービス、視聴覚ライブラリー・サービスなどを効率的・効果的に行うため、日比谷図書館の施設と人と資料を活用することです。

② 「必要不可欠で基礎的なデータ」であるインターネットとその有料データベースは、図書館法第17条に基づき、「受益者負担」でなく、無料でより多くを提供すべきです。
 二次あり検報告はⅡ-3-(1)「民間データベースの導入」で、民間データベースは「必要不可欠で基礎的なデータ」と述べています。しかしながら、Ⅱ-5-(5)「利用者による費用負担」では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならないことになっている(図書館法第17条)。一方、図書館資料ではない民間の有料データベースを活用して行う情報サービス(中略)については、今後、受益者負担の観点から、利用者に一定の費用負担を求めることを検討する。」としています。
 しかし、インターネット情報は蔵書ではないから図書館の無料原則から除外されるという議論は、インターネットとその図書館での提供が他国に先駆けて進められた米国で既に克服され葬られています。「インターネットは放送メディアより活字メディアに近く、活字が享受するのと同じ水準の合衆国憲法修正第1条の保護に値する。」(合衆国最高裁1997年6月26日、リノ対アメリカ自由人権協会事件判決)。
 世界図書館連盟(IFLA)は「図書館・情報サービス機関では、他の中核的なサービスと同様、インターネットへのアクセスは無料とするべきである」(「IFLAインターネット宣言」2002年8月23日総会採択)としています。これが世界の趨勢です。
 世界規模の電子図書館と言うべきインターネットは、1950年公布の図書館法が予想できたものではありません。字句解釈ではなく、知る自由の保障を図書館の目的とした図書館法の趣旨に即せば、図書館法第17条はインターネットについても適用されます。
 現在、国立国会図書館は欧米の雑誌新聞5千タイトル以上の全文有料データベースを無料で提供しています。都内でも9区11市の図書館が和文新聞雑等の全文有料データベースを無料提供しています。都立図書館ではゼロです。
 東京都は「受益者負担を検討する」のでなく、「無料でより多くを提供する」べきです。

③ 都立図書館としての資料保存機能を確保するため、書庫スペース拡張計画を策定・実施すべきです。
 一次あり検報告は、都立図書館の保存書庫スペースを中央図書館(多摩図書館を含む)の現有スペース以上に拡張することはしないとし、この方針により前述の大量の蔵書が行われました。しかし、既に複本分はほぼ除籍し尽くされ、このままでは、一冊しか所蔵しない資料を除籍する事態にならざるをえません。
 前記文教委員会で、教育庁は「都立図書館といたしましては、資料一冊は、まさに都立図書館の責任において保管、収蔵するものでございます。」(生涯学習部長)と、保存機能を持つ都立図書館として、一冊しかない資料を除籍することはしない旨を繰り返し答弁しました。
 二次あり検報はⅡ-3-(5)「蔵書の充実、収蔵対策及び管理の効率化」のイ「収蔵対策」で、「都立図書館は資料の長期保存という役割も担っている」とし、「現状のままでは、都立図書館の書庫は数年後には満杯になる見込みであり、今後の収蔵対策を早急に策定する必要がある。」と述べ、「新たな書庫の確保」を含め「資料を長期に収蔵するための基本的な対策を検討していく」としています。
 収蔵スペースを拡大しないとした一次あり検報告により、都立図書館は前記のように除籍を続ける以外のすべのないまま過ごしてきました。今は、この空白を埋めるために早急に長期保存の具体策、とりわけ新たな書庫の確保計画を策定・実施すべきです。ちなみに図書100万冊を保存する敷地面積490平方メートルの自動出納書庫から出発し、段階的に拡張するという提案も公表されています(多摩地域の図書館をむすび育てる会『東京にデポジットライブラリーを-多摩発、共同保存図書館基本構想』ポット出版、2003.12)。
 計画策定に当たっては、第一に、議会答弁の通り、都立図書館が一冊しか所蔵しない資料は除籍しない方針を堅持すること、第二に、区市町村立図書館が収蔵しきれない資料のクリアランス機能も含めた保存機能とする、第三に、検討は区市町村立図書館と協議して行うこと、を求めます。

④-1)二次あり検報告に基づいて実施計画を作成する「(仮)都立図書館改革推進会議」の作業を凍結し、パブリックコメントで寄せられた意見と都議委での審議を踏まえて報告を見直すことを求めます。
  一次あり検報告は教育庁内の密室で作成されたことは問題であり、図書館政策を検討・作成するに当たっては、図書館関係者や都民に開かれた透明な検討の場を設定するよう求めました。しかしながら、教育庁は二次あり検委員会、専門部会、ワーキンググループの会議を非公開とし、一次あり検報告では行った中間発表も行いませんでした。さらに、教育庁は二次あり検報告に基づいて実施計画を作成する「(仮)都立図書館改革推進会議」を、パブリックコメント募集中であり文教委員会で審議される以前に庁内に設置し、作業を始めました。
 これは都民と都議会を軽視するものではないでしょうか。
④-2)パブリックコメントで寄せられた各意見の全文をHPで公表してください。
 寄せられた意見文書の内容は二次あり検報告の項目ごとに摘出・整理され、見解が示されることと存じますが、各意見文書の趣旨がわかるよう、各意見の全文も教育庁のホームページに公表してください。

                                               以上

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