司書が平和を願うということ(3)…[資料紹介]『バスラの図書館員』
報道によると、イラクでは自身の政府ができ、一歩ずつ歩みを始めているようではある。しかし宗派間の対立など、まだ完全な平和には程遠いようでもある。今回紹介する絵本は、平和を願いそして図書館の本を救おうと取り組んだイラクの図書館員の物語が元になっているのだという。
バスラの図書館員 イラクで本当にあった話 絵と文/ジャネット・ウィンター 訳/長田弘
東京 晶文社 2006.4
ISBN4-7949-2042-3
原題:The Librarian of Basra: a true story from Iraq
原著が2005年に出されたこの本は、2003年に実際に起こった事柄…イラク戦争最中に、戦火が迫っていた南イラクの港町バスラにおいて町の人たちと力を合わせて図書館の本の大部分を守った図書館員の話が描かれている。ちなみに、 同書によるとバスラの図書館はその9日後に焼け落ちてしまう。『New York Times』が報じたことが作者ジャネット・ウィンターさんの目にとまり、原作の絵本になったのだと言う。
「図書館の本には私たちの歴史がつまっている」、この絵本のカバーに書かれていた言葉である。まさにそのとおりである。そして、戦争はその歴史の記録を容赦なく破壊してしまう。この絵本にあるような図書館員がいたということは、私たちの記憶にとどめておくべきであろう。
帯によると、この絵本の収益の一部はアメリカ図書館協会の基金を通じてバスラ中央図書館の再建を助けるために使われるという。もしよかったら皆さんも一度手にとっていただければ幸いである。
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以前報道で知っていたのですがすっかりわすれていました。何気なく本屋に入り児童図書コーナーで発見して思い出しすぐ購入した次第です。世の中にはすばらしく自分を刺激してくれる人たちがいるものです。
この人たちに会い続けている限り人間の道を踏み外すことはありません。時代の革新の為になすべきことをやりたいとおもいます。
投稿: yoshiki inada | 2009.07.18 16:09