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2006.10.23

大田区立図書館への指定管理者制度導入の再考を求めて要望書を提出

東京の図書館をもっとよくする会

 だいぶ時間がたってしまいましたが、大田区へ「指定管理者制度の来年度導入の再考」を求めた要望書を提出したことについてのご報告です。

 8月21日、大田区長と大田区教育長に宛てた「指定管理者制度の来年度導入の再考」を求めた要望書を持参し、担当部局に手渡しました。大田区は、9月21日に大田区立図書館指定管理者の応募予定者説明会を開催しています。

 現在、23区で図書館に指定管理者制度を導入しようとしているのは、千代田区と大田区です。千代田区は、9月千代田区は指定管理者にヴィアックス・SPSグループを選定したと発表しています。

*******************************************************

2006年8月21日

大田区長 西野善雄様
大田区教育長 細島徳明様

東京の図書館をもっとよくする会
代表  佐 々 木 順 二

大田区立図書館への指定管理者制度導入を再考することの要望

1.要望事項

 大田区立図書館に指定管理者制度を2007年度(平成19年度)に導入することは取りやめ、文字・活字文化振興法に基づく図書館振興策を検討すること。

2.説明

 貴区におかれましては、貴区立図書館の管理運営を指定管理者に行わせるために、6月に条例改正するなどの準備を進めていると聞いております。

 私ども「東京の図書館をもっとよくする会」は、東京の図書館が、地域の情報の拠点として、区民の生活を支える基盤として発展することを願い活動している団体です。私どもは、図書館運営を指定管理者に行わせることによって以下の問題が起きてくると考えています。

 第1は、同一の指定管理者に長年にわたって管理運営を行わせることはありえません。そのため、図書館本来の機能であるレファレンスなどのサービスを担う、専門的知識を持つ図書館員の養成確保は困難になります。

 第2は、選書の問題です。選書を指定管理者である業者が行えば、営利企業が区民の読む本を選ぶことになります。また、区が行えば、図書館利用者と接することのない区職員が本を選ぶことになります。いずれにしろ、欠陥を免れえません。

 第3は、図書館の一体的運営・図書館間の連携が妨げられることです。指定管理者は民間企業であり、当然に図書館にかかわる技術は企業秘密です。同一自治体内での図書館の一体化はもとより、自治体を越えての連携協力にも支障が出る恐れがあります。

 第4は、図書館の安定性の問題です。企業には倒産などがあり、突然に図書館を開館できなくなるという事態も生じてきます。

 以上、図書館運営上必要不可欠な安定性・継続性・蓄積性は危うい状態になります。このことは、図書館が指定管理者制度にそぐわないことから生じる根本的な欠陥であると、私どもは思っています。

 2005年(平成17年)に議員立法として成立した「文字・活字文化振興法」は、「国及び地方公共団体は、公立図書館が住民に対して適切な図書館奉仕を提供することができるよう、司書の充実等の人的体制の整備、図書館資料の充実、情報化の推進等の物的条件の整備その他の公立図書館の運営の改善及び向上のために必要な施策を講ずるものとする」(7条2項)と、地方公共団体の責務について述べています。

 また、世界に共通する理念として、「ユネスコ公共図書館宣言 1994年」は、「公共図書館は原則として無料とし、地方および国の行政機関が責任を持つものとする。それは特定の法令によって維持され、国および地方自治体により経費が調達されなければならない。公共図書館は、文化、情報提供、識字および教育のためのいかなる長期政策においても、主要な構成要素でなければならない。」と述べています。

 私どももこれらと同じく考えております。指定管理者導入について是非再考していただきたく、要望いたします。

以上

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コメント

はじめてコメントさせていただきます。

東京都知事の図書館に対する考えが、10/20の記者会見で
示されていましたのでお知らせします。

図書館に人はいらないそうで・・・。
未だ「図書館は小説を借りて読むところ」という認識なのですね。

(もしこの場所へのコメントが不適切であれば、お手数ですが削除ください。)

usa様へ 都知事の記者会見での発言のご紹介ありがとうございました。ご紹介のとおり、知事の発言の中身は私たち図書館に関わる者の思いや意見・考え方とはまったく別のところにあって、私たちはこの発言をそのままにしておいてはいけないないと考えているところです。現在、会としての発言を準備しているところですので、よろしければ、引き続き議論にご参加くだされば幸いに存じます。

usa様がご紹介くださった、都知事の定例記者会見は下記のページから読めます。皆様もどうぞ一度お読みください。

http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/index.htm

はじめまして。
私は今度、川崎から大田区へ引越し予定のものですが、「指定管理者制度」の問題点について、こちらのサイトで勉強させてもらいました。

ですが、新大田区民としては、「指定管理者制度」も気になるのですが、それ以前に「23区中大田区だけネット検索ができない」という問題を、大きな問題としてとらえていました。
個人的にはそれを訴える会を作成しようかとさえ、考えておりました。

貴会では、その問題は、大田区にアピールされていますでしょうか。されているようでしたら、私による会設立は二度手間になってしまいますので・・・。

岡田様
 こちらこそはじめまして。当会に関心をお持ちくださいましてありがとうございます。そして、返信が遅くなりまして失礼しました。
 「案内」のページにもありますが、当会の活動目標の中には「図書館のインターネットを含めたコンピュータ・システムを充実させる」という一項があります。このインターネットが発達した世の中で、岡田さんのおっしゃることは大変よくわかります。 ただ、こちらも組織としては世話人会で相談の上活動方針を決めていくという手順を踏まなければなりませんので、次の世話人会で岡田さんからのご意見をお伝えします。どうぞ今後ともよろしくお願いします。
 補足ですが、下記のURLにて、『ず・ぼん』10号に掲載されました大田区立図書館非公式サイト作成者のインタビューを読むことができます。また、その非公式サイト自身のURLも付記しますので、参考になさってください。

●[インタビュー]大田区立図書館「非公式ウェブサイト」制作者に聞く(PDF)
http://www.pot.co.jp/zu-bon/zu-10/zu10_160-173.pdf

大田区立図書館非公式サイト
http://homepage1.nifty.com/funana/index.htm

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