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2007.06.03

医療情報・法情報およびビジネス情報に関わる参考業務のための指針

 最近、公共図書館で医療情報サービスや法情報サービスに取り組むところが現れた。かつて管理人が訪れたサンフランシスコ公共図書館では、職探しなど利用者の生活に直結する局面での情報提供サービスが行われていたが、今後は日本でもこのような場面での資料・情報提供が重要な取り組みとなるであろう。

 そこで、今回はアメリカ図書館協会参考業務・成人サービス部会による"Guidelines for Medical, Legal, and Business Responses"の指針の全文を翻訳したものを紹介したい。これは、アメリカ図書館協会から翻訳権を得てかつて管理人が翻訳したものである。今後の議論や取り組みの参考になれば幸いである。また、翻訳について不明の点はご教示いただければ幸いである。

                                ****************************

序文
 これは、情報サービス担当職員が医療情報や法情報、あるいはビジネス経済情報を求めるユーザ利用者のニーズに応え、支援することを目指してアメリカ図書館協会のメンバーによって策定された指針の第2版です。この版での修正の主眼は3点あります。

 (1) 新しい用語への入れ替え。特に「参考業務」を「情報
      サービス」に、「お客様」を「利用者」に、「図書館司
      書」を「情報サービス担当職員」に替えたこと。
   (2) 特化された情報サービスを提供する場面や、情
      報源の形式の上に現れている急激な技術変革
      の影響を認識し、それを統合していること
   (3) 改訂前のガイドラインの元々の意図である、一般
      参考業務窓口での非専門家のニーズを扱うた
      めのものということから、専門家および非専門
      家の両方のニーズを扱うことに変更したこと。

 "Guidelines for Information Services"(「情報サービスのための指針」、2000)に盛り込まれている情報を拡張するものとして、医療・法・ビジネスに関する情報サービスにおいて扱われる下記の問題・見地に特化して取り扱う。

  1.情報サービス担当職員の役割
  2.情報源
  3.図書館外にいる利用者のための対応
  4.倫理

1.0 情報サービス担当職員の役割
1.0.1 図書館の情報サービス担当職員は、利用者の日常の法情報・医療情報・ビジネス情報へのニーズに対応するために適切な知識を備え、準備をしておかなければなりません。

1.0.2 職員は求められる主題領域の最新動向に通暁し、彼らの能力のレベル越える質問に言及する必要があります。

1.0.3 図書館は、専門情報サービスの提供に関する方針についての書面による免責条項を策定するべきであり、そこではサービスの種類や程度の違いをしめすべきです。利用者にどのレベルの援助や説明を行うかは、専門家と非専門家の間の主題についての知識の差に基づいて判断すべきです。

1.0.4 法情報、医療情報、あるいはビジネス情報に関わる質問が利用者から出されたら、情報サービス担当職員は自分たちの図書館の専門情報サービス方針に述べられているところにより自らの役割を明確にするべきです。

1.0.5 情報サービス担当職員は、利用者の質問に対する完全で正確な回答を提供すること、および、図書館利用者の情報ニーズにとって最も適切な資源に誘導するすることに責任を負っています。

1.0.6 職員は、もし利用者がそのように望めば、利用者が情報を独立して有効に獲得することを可能にするために、情報源をどのように使うのかを教えるべきです。

1.0.7 利用者が情報源を理解することが難しい場合、一層の説明あるいは比較のためはそれとは別の情報源が求められるべきです。適切な情報源を捜し出すことができない場合、図書館が利用者に適切な情報源を紹介すべきです。

1.0.8 利用者とのやりとりを通じて、入手可能で適切な情報を準備するか、図書館外で提供されている入手可能な情報源やサービスを明解かつ簡便に紹介することにより、利用者の情報へのニーズを満足させるべきです。

1.1 助言
1.1.1 図書館は、それらの情報源の長所にかんして助言したり、その情報源の媒体を問わずに利用者に助言することができ、そうすることがふさわしい場合には利用者に図書館資料に関する推薦をすることが出来ます。

1.1.2 利用者には、可能な限り包括的で最新の資料を推薦すべきです。

1.2 守秘義務
1.2.1 直接来館の場合であっても、館外からの問い合わせの場合であっても、利用者からの要求に関わる秘密はどんな場合でも尊重されなければなりません。

1.2.2 職員は、その質問についての探索援助の場合以外はその質問について図書館外で議論していけません。また、利用者の氏名は利用者の許可なくしては口外してはなりません。

1.3 要領
1.3.1 情報サービス担当職員はレファレンスインタビューの間中分別を持っているべきです。行き届いたインタビューを行なうことが重要であり、インタビューは利用者の不快感を最小限にするような方法で行われるべきです。

1.3.2 職員は、利用者のプライバシーを侵害することなく、質問に現れるの問題が何なのかを識別するよう努めるべきです。

1.3.3 情報サービス担当職員は利用者の質問に対応する際には公平であるべきで、裁くような態度をとるべきではありません。

2.0 情報源
2.0.1 それぞれの図書館は、サービス対象となるコミュニティーのニーズを満たすため、最新かつ正確で、アクセス可能な医療・法・ビジネス関係の適切な情報源を評価し収集していくべきです。

2.0.2 利用者には、著作権及び使用許諾の限界の範囲内で図書館の蔵書にある情報にアクセスする権利があります。利用者のアクセスしようとしている情報が掲載されている情報源を使うことで使用許諾が犯されるのでなければ、利用者は情報入手を妨げられてはなりません。

2.0.3 情報サービス担当職員は、利用者が要求する情報が掲載されている入手可能な情報源に利用者を誘導するべです。これらの情報源は外部情報源のアクセスと同様に禁帯出資料および印刷物以外の収集も含んでいます。

2.0.4 職員は、利用者が適切な情報源を識別し、使用し、かつ評価するのを支援するための援助をしていくべきです。

2.1 情報源の最新性
2.1.1 図書館は、その図書館の本来のの顧客層のニーズを満たし、資料購入予算および資料収集方針の制限にに見合う範囲で可能な限り最新の情報を提供するべきです。

2.1.2 職員は、利用案内を定期的に見直して資料についての説明を削除すべきです。

2.1.3 職員は、図書館の蔵書から、古くなった資料を除籍のために間引きしたり一般書架へ移動したりすべきです。

2.1.4 時間に敏感な性質を持つ情報や情報源の場合は、出版日の最新性は利用者に明確にされるべきです。

2.1.5 医療や法、ビジネスの領域の情報の変化は激しいため、職員は利用者に、この領
域にはもっと最新の情報があるかもしれない旨助言すべきです。

2.2 情報源の正確さ
2.2.1 医療・法・ビジネス情報に対する利用者の要望に応える情報源を一つ以上、図書館の蔵書として提供すべきです。情報サービス担当職員は、可能な場合はいつでも、他の情報源を比較や解釈のために提供することによって利用者が情報の正確さを評価するのを支援すべきです。

2.2.2 広告や勧誘が情報内容として誤って解釈されうる場合には、職員は、可能な場合は常に、利用者が弁別するのを支援するべきです。

2.3 他の情報源への紹介
2.3.1 情報サービス担当職員は、地域の情報サービスの方針や蔵書構築方針に従って利
用者の質問に応えるためのあらゆる努力を尽くすべきです。

2.3.2 利用可能な情報源や職員を用いても質問に答えることができない場合、多様な出版物資源と同様に、そのことに詳しい個人への質問を準備すべきです。

2.3.3 その機関、サービス提供者、個人がその利用者に対応する意志がある場合に限り、紹介は行われるべきです。

2.3.4 図書館外の地域や州、そして私営のサービスについての知識は重要であり、これらのサービスを紹介することは基本的にいくつかの慣習に従います。

2.3.5 職員は、特定の弁護士、法律事務所、医者等の医療サービス提供者ビジネス上の専門家への推薦をしてはなりません。しかし、利用者がそれらの情報源を識別し見つけ出すために有用かもしれない他の情報にアクセスを支援することは差し支えありません。

3.0 図書館外の利用者のための対応
 図書館外の利用者は、遠隔地より援助を依頼している、そのコミュニティの成員である利用者とそうでない利用者を含みます。

3.1 図書館外の利用者からの要望への対応には特段の注意が払われなければいけません。その理由は、私たちは容易に音声メッセージを誤解することと、文章化されたメッセージは説明と解釈が必要となることがあるからです。

3.2 それぞれの図書館は、館外からの要望に対するサービスの提供をも含んだ情報サービス方針を策定するべきです。

3.3 図書館は、要望を寄せた利用者に対し、図書館はその主題についての情報を持ってはいるが、禁帯出資料や印刷物以外の資料を用いたり、より進んだ研究援助のを得るためには図書館に足を運ぶ必要がある旨知らせる必要があります。

4.0 倫理
4.1 アメリカ図書館協会の最近の倫理規定(ALA Handbook中のALA Policy Manualに触れられているように) は、情報サービスを提供するすべての職員の業務遂行を支配します。

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コメント

横浜市中央図書館で医療情報サービスの担当をしている司書です。こんにちは。

当館で予定している職員研修で、この仮訳を紹介させていただきたく、ご連絡することにしました。全文をプリントアウトして配布(当日参加者は10人程度です)したいのですが、いかがでしょうか?もちろん、原文も同時に紹介します。

吉田様
 お知らせありがとうございます。研修でお役立て下さるとのことでありがとうございます。ぜひお使いください。何か反応がありましたらたとえばここで再度コメントいただければありがたく存じます。

管理人様

横浜市中央図書館の吉田です。その節は、指針仮訳の当館研修での配布を快諾いただき、ありがとうございました。お陰様で研修も無事終了しました。
お礼替わりに、研修の報告を投稿させていただきます。その中で、この指針のどこが重要だと思ったか、現在の日本の図書館(員)に何が足りないと思ったか…にも触れました。長文となりますが、ご容赦ください。

***

研修では、医療情報サービスを中央館だけでなく地域の図書館で行う意味と、情報提供時の様々な注意点について講演と実習で学びました。ポイントは二つありました。

一つめは、医療情報提供は中央図書館だけがやるのでは足りないこと。高齢者や体に障害のある人には(中央館前の)あの坂を登るのはきつい、中央は遠い…と言われることが多く、体の弱い人こそ、家に近い地元の図書館での情報提供が必要だ…ということを強調しました。
二つめは資料の少ない図書館の司書こそ、医療情報の分布について熟知している必要があること。図書資料の代替となる、病気や病院の情報を得ることができる、個人でも無料でアクセスできる有用なインターネット情報の提供や、次にどこに行って何を見れば必要な情報が得られるのか…という情報のナビゲーション(水先案内)、論文や資料取り寄せの仲介役など、情報のプロとしてするべきことが多いこと…を強調しました。
この研修の重要な配布資料として、「医療情報・法情報およびビジネス情報に関わる参考業務のための指針」の仮訳を使わせていただきました。

この指針は、医療・法律・ビジネス情報提供には共通点があることを示しています。

1) 従来の図書館では、これらの事項は専門家の領域であり、相談にはのらないものだ…とされてきました。が、日本より先に"自己責任による自己判断"社会となったアメリカで、市民の間で高まるこれらの分野への情報ニーズに応えるために「職員は正確な情報提供をする責任を負うている(1.0.5)」と表明したことが、重要なポイントです。

2) いずれの分野も「最新の、正確な情報の提供」がカギであること。それは、収集した印刷物等の図書館資料だけでなく、入手可能な外部情報源("情報源"という言い方にしたことで、インターネット情報や政府や自治体の相談窓口など、市民がアクセス可能な全ての情報を含んでいます)全てを指しています。

3) 市民にとって情報の識別や探索が難しかったり、誤まった情報の選択がされていた場合、職員は正しい情報選択のための支援をすることが仕事であることが明記されています。例えば「どの専門家=医師・弁護士・法律事務所を選んでいいか分らないと悩む市民に対し、それらを比較検討するための有用な情報を提供するという情報支援」(2.3.5)や、「提供した情報がその利用者にとって難しかった場合、その理解を助け、比較するための適切な情報を提供すること」(1.0.7)、「利用者が選んだ情報が古かった場合、もっと新しい情報があるかもしれないと助言すること」(2.1.5)など。

現在の日本の図書館と職員の状況は、この指針に比して様々な点で足りない…と私は思っています(これは横浜市に限ったことではありません)。そこで、以下のような指摘と提案をしました。

1)については、「医療相談・法律相談等は行わない」とされてきた従来の図書館の常識は読み変えるべきだ…という提案をしました。例えば医療に関して言えば、病状の診断は医療行為であり、図書館員など医師以外の人間がそれを行うことは法律違反です。しかし、何科にかかるべきか、とか、もっと良い医師(病院)があるのではないか…という自己判断のための情報提供はされるべきではないでしょうか。今後は「判断はするべきではないが、判断するための情報提供は必要」というスタンスでレファレンスにあたるのが最善と思われます。

2)については、2点の問題提起をしました。
1点目は、印刷物だけでは情報として足りないこと、図書館資料として持っている情報以外の、インターネット上の情報、政府や自治体の相談窓口などの様々な情報源(それらは常に更新され、新しく立ち現れます)を職員は常に意識し、状況によってそれらの情報提供をし、使い分けを提案することこそが、司書の仕事であることを強調しました。
2点目は、図書資料群の更新を常に行うこと。
これについては、職員の意識改革と勉強だけでは、実は足りません。ここでこの7年で半額近くなってしまった横浜市立図書館の資料費削減(地域館の年間予算は、現在なんと700万円しかありません)が問題になってくるのですが、この話はまた別の機会に。それでも、少ない予算でもできる限りの資料更新と、新刊が買えないのであれば、少なくとも書庫入れや廃棄により古い(間違った)情報の提供を避けたり、有効な情報があると判断して残すのであれば、一部が古い情報であることを市民に分かるように明示する必要が生じます。

3)について。最初にいくつかの質問を投げかけました。
○書庫出納の要求や予約申し込みを受けた時「この資料の情報は出版年から考えて大分古いようですが、この資料でよろしいでしょうか…」と、助言をしたことはありますか?
○市民が自分の求めている情報をうまく説明できなかったとき、質問により最適な情報へと導くレファレンス・インタビューを心がけていますか?
○欲しい情報が自館の資料にはないだろうと思われた時、それがありそうな場所や資料の入手先についての情報提供を行い、さらに市民の技量(知識)では辿りつけない(入手出来ない)と思った時に、「検索(もしくは入手)をお手伝いしましょうか」と助け船を出していますか?
本来は、そこまでやるのが司書の仕事だ…と、指針では言っています。
しかし、従来の図書館職員は、「言われたものを言われるままに出す」傾向が強かったのではないでしょうか。また、利用者からの質問を言葉どおりに受け取るだけで、隠れた情報欲求を引き出すための的確なレファレンス・インタビューを積極的にすることが余りなかったのではないでしょうか。
司書はこうした従来の態度を改め、より丁寧なインタビューにより、市民が真に求めるものを(プライバシーに慎重に配慮しながら)見つけ、より積極的な情報提供を心掛ける必要があります。

法律・医療・ビジネス分野についての市民への「情報サービス支援」は、図書館が橋本知事がいみじくも当然のこととして言った「知のセーフティ・ネット」に真になるために、今後充実すべき重要な課題です。横浜市立図書館では今、一部地域館への窓口業務委託と指定管理者制度導入が検討されていますが、以上の事例は、図書館に経験豊富な専門の司書が居るか、居ないかで大きな差が出るサービスです。レファレンスだけでなく、予約本の申し込みや受け取りなど、簡単なやりとり一つとっても、差が出るはずです。また、新刊選定を直営館に引き上げても、現場に委ねられる書庫入れや廃棄といった「書架管理」と、その結果である「公開書架」に大きな差が出るはずです。

しかし、直営で、司書という専門職が居ても、今までの横浜市立図書館ではそれらを十分に提供できていたとは残念ながら言えないと思っています。そこで、職員の意識改革を隠れた目的として、本研修を行いました。

***

報告は以上です。

吉田倫子様
 研修の報告を書き込んでくださいましてありがとうございました。大変充実した研修だったのだろうと拝察いたします。また、この書き込みでは大変重要な点も少なからず指摘してくださっており、大変感謝しております。

このサイトをお読みの他の皆様
 吉田さんの書き込みをお読みになり、いかがでしたでしょうか。このような問題では、広く議論が興り、そこから次に向かう力が出てくることが重要だと考えていますので、何かありましたらご意見ご感想をいただければ幸いと考えております。また、合わせて翻訳についてのご指摘なども頂ければ幸いです。

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