今日(2007.11.3)、六本木の国際文化会館で行われた標記の写真展に行ってきました。"Elizabeth"とは世界的ベストセラー『死ぬ瞬間』(鈴木晶訳、1998-1999読売新聞社刊行)等で有名な精神科医エリザベス・キューブラー=ロス博士(1926-2004)のことで、死の受容のプロセスに着目することや、愛するものを亡くした後の悲哀(Grief)やそれを癒す悲哀の仕事(Grief work)にの重要性について最初に触れた方です。後の医療者たちに決定的な影響を与え続けている方だと言えましょう。『死ぬ瞬間』は随分昔に千葉敦子さんの本や柳田邦男さんの一連の医療ルポを夢中になって読んでいた頃に出会った本で、前日に偶然新聞で目に入った広告記事に引かれて六本木まで足を運んだというわけです。
この写真展は一日限りのものなのですが、中ではエリザベス博士のご子息であるKenさんが世界各地で撮った写真や、エリザベス博士の少女時代からの物語のビデオがあり、そこではスタッフの皆さんの働きもあって素敵なひと時を過ごすことができました。また、11月13日に発売予定だという『エリザベス・キューブラー・ロスの思い出(Tea with Elisabeth)』(麻布小寅堂刊行)が先行販売されていたので、早速手にとってみました。博士との思い出を、親しかった世界中の50人が綴った『Tea with Elisabeth』の日本語版だとのことで、米国オリジナル版に先駆けての出版決定なのだそうです。紐解いてみると、死に直面した人たちに真摯に寄り添った博士の人柄がその人たちの筆からより明らかになっているのだということが確認できました。ロス博士の一連の活動は、私たちに再び「生きるとは」ということを問いかけているのだろうと思います。
六本木を後にしながら思い返したことがあります。図書館には、例えばキューブラー=ロス博士の一連の『死ぬ瞬間』関係の著作など、それぞれの著者の方々が真摯に活動されたところから生まれた本があります。そして、キューブラー=ロス博士はもはやこの世にはいらっしゃいませんが、私たちは図書館に置いてあるそれらの本を通して今でも彼女の活動の一端に触れることができます。そして、図書館には「知りたい」と願う利用者が訪れ、例えば『死ぬ瞬間』を手に取ったりなどします。利用者が活動を続けていくために必要な資料を探しに図書館に来るという物語と、著者の方々の活動の物語。ならば私たち司書はどうすべきか。
答えは一概では言えないでしょうが、きっとこのようになるのでしょう。利用者の「読みたい」をお手伝いするプロとしての司書。司書たちが活動を積み重ねてきて、今後とも積み重ね続けていくその物語の中で、利用者の思いにアンテナをしっかりと張り、著者の思いに、そして日々生まれてきている資料にアンテナを張り、しっかりと必要な資料を集めて利用者に提供していくことなのでしょう。
言ってみれば当たり前のことではあるのですが、今日の写真展を見てその思いを新たにした次第です。
エリザベス・キューブラー・ロスの思い出 ファーン・スチュアート・
ウェルチ、ローズ・ウィンタース、ケネス・ロス編集
松永太郎翻訳
東京 麻布小寅堂 2007
ISBN 978-4-9903853-1-6
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