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2008.04.19

練馬区立光が丘図書館を訪問し、図書館側と面談(2月5日)

 練馬区立図書館貸し出し履歴保存についての「もっとの会見解」を図書館責任者につたえること、及び、練馬図書館から経過やどう考えているのかを直接聞き取りたいということから、面談を申し入れ、2月5日に実現した。

 東京の図書館をもっとよくする会の佐々木(代表)、池沢(事務局)が訪問し、練馬区立光が丘図書館長、事業係長、資料係長から説明をしていただいた。以下、当日の話をもっとの会事務局が、当日のメモからまとめた。

1.概要

 12月、12月予定の図書館システムバージョンアップについて朝日新聞社の取材を受けた。貸し出し履歴保存システムについては、バージョンアップによる新たなサービス提供等の一つとして話した。1月11日の朝日新聞報道はそれを記事にしたものである。

 バージョンアップの検討は、図書館職員による開発部会を18年9月以降に立ち上げた。その洗い出しの中で議論をたたかわしたが、図書の切り取りなどの対策として、資料の保全にかかわる情報を集めるということで、結論として、資料の記録を残すこととなった。開発部会を受けた館長会で、資料の保全が優先するとなり、私(小池光が丘図書館長)が最終判断を行った。

(調査を行ったが、他の区では行っていないことを確認している。…資料係長)

2.「貸し出し履歴保存」システムについての説明

 ①貸し出し履歴は、個人情報からはアクセスできない。その本から借りた人にアクセスできる。練馬区個人情報保護条例には触れていない。思想信条に触れてはいけないし、触れることはしない。そのような心配はしていない。

 「もっとの会見解」を見たが、貸し出し履歴保存に不安を感じた図書館を利用しなくなると述べている。それならば、そういう人は、貸し出し時にも情報は残っているから、本を借りないのではないか。(この問いかけには、その場で答えなかった。「もっとの会見解」に寄せられた意見の中にも同様の意見があるので、それらを含めて「もっとの会」の考えを明らかにしたい。)

 ②特にCDは、中身が入れ替わっていたり、音のないものさえ入っていた。返却された時のチェックでは見つけられない。また、窓口でも、弁償しろ、弁償しないというトラブルになるケースが増えている。館長が出て弁償するようお願いしているが難しい。故意にやっている方に対する抑止効果になる。

 ③窓口が忙しい状況にある。光が丘はお客が多いのでチェックできない。13週はあるかもしれないが、お聞きするために残している。本来は窓口で処理するのは原則だが、窓口ではやりきれないのでそれをカバーするということだ。現状を考えると、せざるをえない。

3.「もっとの会」の質問と図書館の回答

①もっとの会:「貸し出し履歴保存」システムに入っているのは何か。

  図書館:貸出日、資料番号及び利用者番号である。資料の貸し出し履歴に利用者番号を残すようにした。セキュリティ権限を持つものしか見ることができない。

②もっとの会:朝日新聞の報道を見たが他の報道機関は来たか。

  図書館:朝日の後に共同通信が来た。

③もっとの会:「貸し出し履歴保存」システムは具体的にはどのように使うのか。

  図書館:書架で切り取り等が見つかったら、電話で「切り取りがありますがご存じでしたか」とお聞きすることになる。「前からあった」と言うことであれば、「返すときに言ってください」とお願いすることになる。

 「返却後最長13週間まで保存」は長いと思うだろうが、「返却後」ではなく「貸出後」である。3週間の貸出期間に、3週間延長すれば、もっと短くなる。「返却後」と誤解する人が多い。朝日新聞の記事に誤りがある。

 (練馬区立光が丘図書館のちらし「利用者の皆さまへ 図書館情報システムが新しくなります。」には、「(貸出情報は)返却後、資料が2回貸し出された時、または13週間(約90日)のいずれか短い期間が過ぎると、自動的に消去します。」とある。「貸出情報を最長返却後13週間保存する」と理解するのが普通であろう。「もっとの会」もそのように理解してきた。幸いにも、借りた日に返却する「貸出後最長13週間保存」は「返却後最長13週間保存」と同じなので、「もっとの会見解」に変更はない。同じく、朝日新聞の記事に誤りはない。2月23日に見た練馬区立図書館のホームページは、「返却済みの貸出情報は、過去2人分または貸出日から起算して13週間のどちらか短いほうを保管します。貸し出しが続いた場合は、最も古い貸出情報から消去し、貸し出しがなかった場合は、13週間を経過したら消去します。」と正確で分かりやすい表示になっている。)

④もっとの会:「貸し出し履歴保存」システムについての区民・利用者の反応はどうか

  図書館:区民から意見が寄せられている。意見があるのが6分、「がんばれ」という賛成が4分か、5分5分に見える。

2007.04.06

23区の区長(予定候補者)と区議会会派に「区立図書館政策についての公開質問状」

 「東京の図書館をもっとよくする会」は、東京23区の区長(統一地方選の予定候補者を含む)と区議会会派(2名以上)に「区立図書館政策についての公開質問状」を送りました。
 現在頂いているすべての回答が下記3からご覧いただけます。回答された方々にお礼を申し上げます。

                             2007年4月13日

1.依頼文及び質問状
2.依頼先一覧
3.公開質問状への回答

2007.02.26

全国知事会等への要請行動を準備--「要望書」賛同団体への参加を呼びかけます

 図書館友の会全国連絡会は、昨年(2006年)5月に文部科学大臣・総務大臣宛の要望書を提出し、200名を超える衆・参両院議員に要請を行ってきました。今回は、3月4日に開催予定の図書館友の会全国連絡会第1回総会にあわせて、3月5日(月)に全国知事会をはじめとする8団体に要望書を持参し、要請を行うための準備を進めています。「東京の図書館をもっとよくする会」も、全国連絡会の一員としてこの要請行動に積極的にかかわって成功させたいと思っています。
 この要望書に賛同される団体には、できるだけ多く団体名を連ねていただきたいと思いますので、期間が迫っていますが、呼びかけを行います。

 連絡先 池沢 電話042-765-3382
        メール n-ikezawa@jcom.home.ne.jp
        または、佐々木 電話03-3975-0303

 なお、当日持参予定の要望書はこちらからご覧いただけます。

2006.10.01

「都立図書館改革の具体的方策」に関連して、都立図書館の充実を求める「陳情」を提出

東京の図書館をもっとよくする会

 9月25日、東京の図書館をもっとよくする会は、「『都立図書館改革の具体的方策』に関連して、都立図書館の充実を求める陳情」 を都議会に提出しました。また、9月下旬の都議会に『具体的方策』が報告されることから、各会派を回って説明と協力依頼を行いました。

 『具体的方策』は、『都立図書館改革の基本的方向』(第二次都立図書館あり方検討委員会報告)に基づき、 秘密裡に都教育庁で内部検討が進められ、8月24日に初めて公表されました。中身は、区市町村図書館への協力貸出資料を館外に貸さない、 商用データベースの有料提供など、都民サービスを大きく後退させるものです。大量の蔵書を除籍し、 日比谷図書館児童資料を移転し廃館のための布石を打った第1次あり方検討委員会のリストラに引き続く、大規模なリストラ計画です。

 9月29日、都議会文教委員会に『具体的方策』が報告され、自民党は「館止め」はサービスダウンの恐れと指摘、公明党は「館止め」 の問題に加えて搬送費負担の見直しも取り上げ、区市町村図書館の理解を得るよう求めました。教育庁は、 東京都公立図書館長連絡会や教育長会に説明し話し合うと答弁しました。共産党は、岡山県・滋賀県と比較して、 都立図書館のサービス政策と資料費・司書の削減の異常さを指摘、公明党も司書削減に危惧を表明しました。

 「もっとの会」の陳情は、11月後半の文教委員会で審議されます。

***********************************

「都立図書館改革の具体的方策」に関連して、 都立図書館の充実を求める陳情

2006年9月25日提出

東京都議会議長
川島 忠一 殿

東京の図書館をもっとよくする会
代表 佐々木 順二

《願意》

 東京都教育委員会が8月24日に公表した「都立図書館改革の具体的方策」の実施に当たっては、下記の点を取り入れ実施してください。

  1. 区市立図書館を通じて都立図書館資料を都民に提供する「協力貸出し」は、都立図書館としての基本的サービスであるので、 今後も都民に貸し出すこと、かつ、配本費用の徴収は行わないこと。
  2. 膨大な雑誌を収集提供する「東京マガジンバンク」は、都民の利用の便を考え、都立日比谷図書館に設置すること。
  3. 商用データベースの提供は、高度なオンラインデータベースを含め、すべての都民が利用できるように無料とすること。
  4. レファレンスサービスを一ヶ所で行う「ワンストップサービス」は、レファレンスサービスの水準低下を起こすので、現在の高度・ 専門的な都民要求に引き続き対応するために、特定分野ごとのレファレンス体制を維持すること。
  5. 都立図書館のサービスを維持・拡充させるために必要な司書職員を採用すること。
  6. 個別の方策の実施については、区市立図書館・関係団体・利用者と十分に協議を行ってから実施すること。

《理由》

 「都立図書館改革の具体的方策」は、都立図書館の所蔵スペースの拡充、IT関連サービスの展開、 医療や法律などの重要サービスを提起し、それらの実現については大きな期待を持っています。その一方には、「協力貸出し」 の見直しや商用データベースの有料化など、都民サービスの低下につながるものも含んでいます。

  1. 「協力貸出し」は、都立図書館が役に立っていることを、多くの都民がもっとも実感するサービスです。 区市立図書館の利用者も都民です。個人貸出しをやめることや、有償化につながる配本費用の徴収は行うべきではありません。
  2. 「東京マガジンバンク」は、多摩図書館ではなく、 日本の中枢機能が集中しかつ交通至便の地にある都立日比谷図書館に設置するのが最良であると考えます。まして、 都立中央図書館から多くの雑誌が「東京マガジンバンク」に移り、都立中央図書館の雑誌は激減します。現利用者のことも考え、 都立中央からも近い日比谷図書館とすべきです。
  3. 商用データベース提供の有料化によって、情報を得られない都民が生じます。 公共図書館を通してデータベース提供を無償で積極的に進めるのは、世界に共通する流れです。情報化時代に遅れをとりかねません。
  4. ワンストップサービスは、特定分野ごとのレファレンス体制をやめて、 一箇所で全分野に渡るレファレンスに対応しようというものです。都立中央図書館の蔵書は300万冊で、 この膨大な資料を使ってレファレンスを行います。一般参考係が窓口となり、 一般参考係で対応できないレファレンスについて4つの主題室が対応しています。ワンストップサービスにすれば、現在、 各主題室で行っている高度なレファレンスサービスがなくなるので、都民サービスは低下します。従来どおり司書職員を配置して、 レファレンス・サービスはじめ利用者のサポートを維持・充実すべきです。
  5. 今後5年で、定年退職により司書職員は半減し、経験・知識の蓄積が失われます。 都立図書館のサービスを継続させるために司書職員の採用をすべきです。
  6. 「都立図書館改革の具体的方策」策定に至るまでに寄せられた図書館関係者・団体、都民・ 利用者の要望が反映されないままの方策も見られます。都立図書館がサービス低下をきたさないためには、実施前に、 それらの人々や団体との協議が必要と考えます。

以 上

2006.06.10

「図書館友の会全国連絡会」、指定管理者制度反対などの要望書を持って、総務省・文部科学省と交渉

池沢昇(東京の図書館をもっとよくする会・事務局)

 「図書館友の会全国連絡会」は、5月25日文部科学大臣、26日総務大臣に宛てた「公立図書館の充実と改善を求める要望書」を持参し、窓口となる両省のそれぞれの担当部署に要請を行いました。併せて、活字文化議員連盟、衆議院文部・科学委員会、参議院文教・科学委員会の200名を超える議員にも、あいさつ文を持って要請を行いました。「要望書」の趣旨は、(1)文字活字文化振興法の条文に基づく施策を実施すること、(2)指定管理者制度を公立図書館に適用しないこと、(3)公立図書館の人的体制と物的条件を整備するために財政措置を早急に実施すること、の3点です。

 「図書館友の会全国連絡会」は、全国各地で図書館に関わる活動を行っている住民運動団体の全国連絡組織として、一昨年に結成されました。「東京の図書館をもっとよくする会」は、創立準備段階から加わっています。今回の要請行動には、公立図書館を崩壊に導く指定管理者制度が全国に広がることを食い止めるために、 積極的にかかわり推進しました。

 総務省・文部科学省の要望書の案文作りや行動計画をネットを通して練り上げていくなかで、「図書館友の会全国連絡会」に未加入の団体からの賛同が増え、「図書館友の会全国連絡会」と賛同26団体の名で要望書を出しました。全国から集まった要請団は文部科学・ 総務両省への要請を行うとともに、手分けして議員要請を行いました。

 今回の要請行動の詳しい内容や評価は「図書館友の会全国連絡会」が作成することになります。とりあえず、この要請行動に参加した池沢が、個人として簡単な報告を行います。

 6月25日、文部科学省への要請は、生涯学習政策局社会教育課図書館振興係長が対応し、1時間半の話し合いの時間を持ちました。各地での指定管理者の導入が住民への十分な説明を抜きに強引に進められていること、国が指定管理者の導入を求めているからと説明していること、などの実状を述べました。また、担当者として、地方行政組織からの一方的な情報だけではなく、地域で起きていることを正確につかむこと、また、各地の図書館に関わる活動を実際に見て回ることを要請しました。

 26日の総務省は、自治行政局行政課行政第三係長が対応し、1時間を超えた話を持ちました。指定管理者制度を所管する部署です。指定管理者制度は公の施設の運営形態の枠を広げたもので、その導入は自治体の判断にゆだねられている、と法の趣旨について説明しました。しかし、要請団は、国の方針だとして住民の声を無視した強行が各地で起きていることをあげ、国としての責任を果たすように要望しました。文部科学省の担当者も同じでしたが、始めて聞く内容と述べました。加えて、総務省に住民運動団体が指定管理者制度の要請に来たことも今までないとのことでした。

 これらの一連の活動を終えての私の評価は以下の通りです。

(1) 総務省、文科省とも大臣に会えず、係長クラスの対応だった。しかし、 それぞれ今回の要望事項にかかわる実務を行うセクションであり、そこに私たちの考えていること、各地で起きていることを伝えたことは大きい。全国で起きていることについて資料を届ける約束をそれぞれにしたので、今後のパイプをつなぐことができた。
(2) 議員要請行動については、ほとんど秘書対応であった。時間もなく十分に説明することも無理だった。しかし、対象とした全議員を回りきり、挨拶をしてきた。このことでどれだけの影響を与えられるのかはわからない。それでも、次回 「前回も図書館のことで要請に伺った団体です」と挨拶できるようにはなったのは確かである。
(3) マスコミについては、マスコミ用の文書を用意し、記者クラブを通じて配布した。毎日新聞5月25日夕刊が取り上げた。今日のマスコミは民営化推進の側に立っている。その中で、かなりのスペースをとって紹介された意義は大きい。
 続けて毎日新聞6月9日は静岡市立図書館への指定管理者導入反対の動きを、指定管理者の図書館の実状も紹介しながら、民営化に疑問を投げかける立場から掲載した。(民営化が進む図書館=賀川智子(静岡支局)◇利用者軽視の公費削減--地域との議論尽くせ
 読売新聞東京多摩版「民間委託23区より少なく 多摩地区の公立図書館」(3/22)でも図書館の委託・民営化について、財政効率と図書館職員の専門性とどちらを優先するのかとの視点で取り上げている。朝日新聞は2月15日の 「私の視点」で入矢玲子氏(中央大学図書館司書)の図書館民営化への批判投稿を掲載した。少しづつではあるが、潮目が変わりつつある。
(4) 全国の図書館にかかわる運動体が共同して国に意見を述べ、改善を要請したことは、「図書館友の会全国連絡会」 に参加する団体にとって、大きな自信になったのではないかと思う。国が「図書館友の会全国連絡会」に会って話を聞き、また、マスコミを通じても「会」の名前が流れた。これらを反映して地域に活動する団体も、地元の自治体との関係で相対的に立場を強めることになる。今後の全国各地での運動にも影響を与えるだろう。このことが何よりも大きい成果だと思う。

掲載資料
「要望書」(pdf112.3K)
「賛同団体一覧」(pdf45.3K)

2005.09.24

「都立図書館改革の基本的方向(第二次都立図書館あり方検討委員会報告)」についての意見

                                 2005年9月21日
                                 東京の図書館をもっとよくする会
                                 代表 佐々木順二

 「都立図書館改革の基本的方向(第二次都立図書館あり方検討委員会報告)」(以下、「二次あり検報告」)について、「東京の図書館をもっとよくする会」の意見を述べます。

1.一次あり検報告、その具体化-都立図書館の徹底した縮小再編-について
 私たち「東京の図書館をもっとよくする会」は、2002年1月に公表された「都立図書館のあり方検討委員会報告」(以下、「一次あり検報告」)が都立図書館の組織・人員・サービスを大幅に縮小再編する政策であると考え、都議会にその見直しと開かれた場での図書館政策づくりを請願しました。2月19日の文教委員会では全委員が発言され真摯に論議頂き、採択は保留されましたが、教育庁から多くの積極的な答弁を得ることができました。
 その後、都立図書館では、私たちが危惧した管理運営が進められてきました。
 まず、一次あり検報告の“資料収蔵スペースを都立中央図書館と多摩図書館を合わせた311万冊分以上には増やさない。”“1タイトルについて1冊しか収集・保存しない。”という方針により、4年間で約31万冊の図書と雑誌が除籍されました。前記文教委員会で、教育庁は廃棄せずに再活用すると答弁しましたが、再活用は頓挫し、現在約19万冊が日比谷図書館の書庫に死蔵されています。
 また、“地域分担を廃止する”方針により、多摩図書館は独立図書館機能を廃止されました。
 第三に、日比谷図書館については、老朽化した建物を建替えて、都立図書館の収蔵能力とサービスを拡大する計画(東京都長期計画)をうやむやに凍結したうえ、児童室を多摩図書館に移転し、資料費を7割削減してサービスを縮小し遊休施設化を進めました。
 第四に、中央図書館(多摩図書館を含む。以下同じ)の資料購入費を大幅に削減しました。2004年度の資料購入予算は1億7千万円と、1998年度の四割台にまで幅削減し、出版点数に対する都立中央図書館の収集点数(収集率)は、削減前の60%台から'02年度は31%、'03年度は27%、'04年度は23%と下降し続けています。前記文教委員会で教育庁は、「原則として一タイトル一点を収集、保存とする、そういうスタンダードを設けるとともに、収集率の向上を図ってまいることにいたしたいというように思ってございます。これによって、約一〇%の収集率のアップが見込まれるものと考えてございます。」(生涯学習部長)と答弁していたにも関わらずです。
 第五に、その一方で、協力貸出の要望が強い資料は複部購入して貸出するという議会答弁は履行されていません。館長会からは協力貸出サービスのレベル維持を求める意見書が提出されています。

2.二次あり検報告について
 二次あり検報告は、一次あり検報告が打ち出した都立図書館の組織・人員・サービスの縮小再編をさらに進める施策を提起しています。
 私たちは、一千万住民と多くの在勤・在学・訪問者をもつ首都東京において、現在の都立図書館の組織・人員・サービスは不十分であり、近年、一般に紹介されるようになった欧米の図書館先進自治体の事例も参考にして、飛躍的に充実されるべきだと考えます。その立場から、二次あり検報告の次の点につき、意見を述べます。

① 都立日比谷図書館は、わが国の公共図書館を象徴する抜群の知名度をもち、都民に至便な都心に立地します。一方、中央図書館は前述の除籍を続けましたが現在ほぼ満杯です。日比谷図書館という都民の財産を廃止・区移管せず、収蔵機能、及び都立図書館として必要なITを活用した情報サービス、ビジネス支援サービス、現在の新聞雑誌サービスをさらに充実して最新情報を提供するサービス、視聴覚ライブラリー・サービスなどの展開に活用すべきです。
 日比谷図書館を地元区に移管する理由として、二次あり検報告は、1)個人貸出しは住民への直接サービスを任務とする区市町村が行う図書館サービスである、2)都と区市町村は図書館サービスを役割分担する、をあげています。
 この認識は、1996年に日比谷図書館の建替え計画を東京都長期計画に組み込んだ際に、教育庁が前提としたものと全く同じです。東京都は長期計画で、満杯になりつつあった中央図書館では困難なサービス拡充を、日比谷図書館を建替えて実現しようとしたのです。なぜ、同じ図書館機能の認識が都立日比谷図書館廃止・区移管という全く異なる結論を導くのでしょうか。二次あり検報告は、「現在の日比谷図書館は、図書の個人貸出サービスを中心に業務運営」を行っていて区立図書館と「サービスが重複」しているからだ、と説明します。しかし、'96年当時、日比谷図書館は現在の3倍以上の資料購入費をもって、はるかに旺盛に個人貸出サービスを行っていました。
 多摩地区で直接サービスを行っていた都立図書館3館(立川図書館、青梅図書館、八王子図書館)は、市町村図書館への協力とレファレンスを分担する都立図書館として立川図書館を改築・統合し、地元自治体に移管することはせず、1987年に都立多摩図書館として発足しました。
 個人貸出サービスを区市町村がどう行うかは各区市町村が判断し実施すべきことです。
東京都がすべきことは、都立日比谷図書館の知名度と立地を生かし、都立図書館として必要なITを活用した情報サービス、ビジネス支援サービス、現在の新聞雑誌サービスをさらに充実して最新情報を提供するサービス、視聴覚ライブラリー・サービスなどを効率的・効果的に行うため、日比谷図書館の施設と人と資料を活用することです。

② 「必要不可欠で基礎的なデータ」であるインターネットとその有料データベースは、図書館法第17条に基づき、「受益者負担」でなく、無料でより多くを提供すべきです。
 二次あり検報告はⅡ-3-(1)「民間データベースの導入」で、民間データベースは「必要不可欠で基礎的なデータ」と述べています。しかしながら、Ⅱ-5-(5)「利用者による費用負担」では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならないことになっている(図書館法第17条)。一方、図書館資料ではない民間の有料データベースを活用して行う情報サービス(中略)については、今後、受益者負担の観点から、利用者に一定の費用負担を求めることを検討する。」としています。
 しかし、インターネット情報は蔵書ではないから図書館の無料原則から除外されるという議論は、インターネットとその図書館での提供が他国に先駆けて進められた米国で既に克服され葬られています。「インターネットは放送メディアより活字メディアに近く、活字が享受するのと同じ水準の合衆国憲法修正第1条の保護に値する。」(合衆国最高裁1997年6月26日、リノ対アメリカ自由人権協会事件判決)。
 世界図書館連盟(IFLA)は「図書館・情報サービス機関では、他の中核的なサービスと同様、インターネットへのアクセスは無料とするべきである」(「IFLAインターネット宣言」2002年8月23日総会採択)としています。これが世界の趨勢です。
 世界規模の電子図書館と言うべきインターネットは、1950年公布の図書館法が予想できたものではありません。字句解釈ではなく、知る自由の保障を図書館の目的とした図書館法の趣旨に即せば、図書館法第17条はインターネットについても適用されます。
 現在、国立国会図書館は欧米の雑誌新聞5千タイトル以上の全文有料データベースを無料で提供しています。都内でも9区11市の図書館が和文新聞雑等の全文有料データベースを無料提供しています。都立図書館ではゼロです。
 東京都は「受益者負担を検討する」のでなく、「無料でより多くを提供する」べきです。

③ 都立図書館としての資料保存機能を確保するため、書庫スペース拡張計画を策定・実施すべきです。
 一次あり検報告は、都立図書館の保存書庫スペースを中央図書館(多摩図書館を含む)の現有スペース以上に拡張することはしないとし、この方針により前述の大量の蔵書が行われました。しかし、既に複本分はほぼ除籍し尽くされ、このままでは、一冊しか所蔵しない資料を除籍する事態にならざるをえません。
 前記文教委員会で、教育庁は「都立図書館といたしましては、資料一冊は、まさに都立図書館の責任において保管、収蔵するものでございます。」(生涯学習部長)と、保存機能を持つ都立図書館として、一冊しかない資料を除籍することはしない旨を繰り返し答弁しました。
 二次あり検報はⅡ-3-(5)「蔵書の充実、収蔵対策及び管理の効率化」のイ「収蔵対策」で、「都立図書館は資料の長期保存という役割も担っている」とし、「現状のままでは、都立図書館の書庫は数年後には満杯になる見込みであり、今後の収蔵対策を早急に策定する必要がある。」と述べ、「新たな書庫の確保」を含め「資料を長期に収蔵するための基本的な対策を検討していく」としています。
 収蔵スペースを拡大しないとした一次あり検報告により、都立図書館は前記のように除籍を続ける以外のすべのないまま過ごしてきました。今は、この空白を埋めるために早急に長期保存の具体策、とりわけ新たな書庫の確保計画を策定・実施すべきです。ちなみに図書100万冊を保存する敷地面積490平方メートルの自動出納書庫から出発し、段階的に拡張するという提案も公表されています(多摩地域の図書館をむすび育てる会『東京にデポジットライブラリーを-多摩発、共同保存図書館基本構想』ポット出版、2003.12)。
 計画策定に当たっては、第一に、議会答弁の通り、都立図書館が一冊しか所蔵しない資料は除籍しない方針を堅持すること、第二に、区市町村立図書館が収蔵しきれない資料のクリアランス機能も含めた保存機能とする、第三に、検討は区市町村立図書館と協議して行うこと、を求めます。

④-1)二次あり検報告に基づいて実施計画を作成する「(仮)都立図書館改革推進会議」の作業を凍結し、パブリックコメントで寄せられた意見と都議委での審議を踏まえて報告を見直すことを求めます。
  一次あり検報告は教育庁内の密室で作成されたことは問題であり、図書館政策を検討・作成するに当たっては、図書館関係者や都民に開かれた透明な検討の場を設定するよう求めました。しかしながら、教育庁は二次あり検委員会、専門部会、ワーキンググループの会議を非公開とし、一次あり検報告では行った中間発表も行いませんでした。さらに、教育庁は二次あり検報告に基づいて実施計画を作成する「(仮)都立図書館改革推進会議」を、パブリックコメント募集中であり文教委員会で審議される以前に庁内に設置し、作業を始めました。
 これは都民と都議会を軽視するものではないでしょうか。
④-2)パブリックコメントで寄せられた各意見の全文をHPで公表してください。
 寄せられた意見文書の内容は二次あり検報告の項目ごとに摘出・整理され、見解が示されることと存じますが、各意見文書の趣旨がわかるよう、各意見の全文も教育庁のホームページに公表してください。

                                               以上

2005.08.28

都立日比谷図書館、千代田区へ移管方針--第2次都立図書館あり方検討委員会報告

                       東京の図書館をもっとよくする会世話人会

 新聞報道や、『日々記』等他のブログ等で皆さんもすでにご存知かもしれませんが、東京都教育庁は8月25日午後、東京都教育委員会に第二次都立図書館あり方検討委員会報告「都立図書館改革の基本的方向」を報告、了承を受けた後、ホームページに公開しました。下記がそのURLです。

    http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr050825t.htm

 同庁は、この報告書に対し、9月26日締切りでパブリックコメントを受けるとしています。この報告書には、日比谷図書館の千代田区移管、受益者負担、レファレンス・サービスの「ワンストップ」化(6つの主題室を合併していく方向)などが盛り込まれていますが、例えば移管問題で言えば、千代田区へ移管されることでサービスはどうなるのかということや、職員の問題等、この報告書には大変大きな問題が含まれていると私たちは考えています。今後もこのサイトなどで取り上げていこうと考えていますが、皆さんもどうぞ上記報告書をご一読いただければ幸いです。

2004.04.01

東京の図書館をもっとよくする会のご案内

東京の図書館をもっとよくする会とは

 東京の図書館をもっとよくする会は、次のことを目標に掲げて活動する団体です。

  1. 図書館の施設を充実させる。
  2. 図書館のサービスをもっと充実させる。
  3. 資料の充実を進める。
  4. 図書館のインターネットを含めたコンピュータ・システムを充実させる。
  5. 以上の達成のために図書館の専門職員(司書)を充実し、専門職員制度を確立する。
  6. その他、東京の図書館をもっとよくするための活動をする。

 この目標及び下記の会則にご賛同いただける方、どうぞ一緒に活動していきませんか。

◎ 「会」連絡先・事務所

〒101-0061
千代田区三崎町2-17-9
マルヨシビル201 図書館問題研究会内
東京の図書館をもっとよくする会
代表 佐々木順二
電話:03(3222)5030

「東京の図書館をもっとよくする会」会則
  1. 名称 東京の図書館をもっとよくする会と称する。
  2. 目的 東京の図書館をもっとよくするために、図書館施設及び図書・資料費の充実などによるサービスの発展とそれを支える司書職制度の確立をめざして取り組む。
  3. 運営

    (1)この会則に賛同する個人・団体により「会」を構成する。
    (2) 「会」の構成員から世話人を選出し、世話人会が運営を行う。
    (3)世話人から「会」の代表1名を選出する。
    (4)必要により総会を開き、「会」の目標や運動の方向にかかわることを論議し決定する。
    (5)広く東京の図書館の問題を知らせ、図書館をもっとよくするため多くの意見を交流・論議する集会を開催する。

  4. 活動資金

    (1) 「会」に参加する個人・団体の会費。
    (2) 「会」の趣旨に賛同する個人・団体からのカンパ。
    (3)パンフレット等出版物の売り上げ。

  5. 会費 年会費1口1000円(団体はおおむね3口以上)とする。
「東京の図書館をもっとよくする会」参加申込書
  • お名前:
  • 勤務先・所属団体:
  • 住所:〒
  • 電話:
  • ファックス:
  • 年度会費:       円(  口)*1口1000円です。
その他、当サイト管理人より

 当サイトでは、会の活動に関する情報発信の他、会の活動目標に関係する、図書館についての様々な情報発信を行っていく予定です。各記事にはコメントがつけられるようになっていますので、「東京の図書館をもっとよくする」ための建設的な議論に役に立つようなコメントを是非お寄せください。また、トップページのリンクをクリックして、メールを書いてくださってもかまいません。情報提供等やご意見等、よろしくお願いします。ただし、コメントをつけていただくときには、今後、ご一緒に活動していく際の連絡先という意味でも、お名前とメールアドレスの記入にご協力ください。「荒らし」と呼ばれる行為については厳にお断りいたします。

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