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2008.11.24

[資料紹介]久慈 力著『図書館利用の達人―インターネット時代を勝ち抜く』

 今日は、書店で何気なく見つけた資料を紹介してみたい。著者はノンフィクション作家であり歴史研究家である久慈力さんである。久慈さんは日々著作活動やジャーナリスト活動、市民運動や訴訟、テレビ番組出演などの活動で図書館を使いこなしながら様々な成果を挙げている方である。

  図書館利用の達人―インターネット時代を勝ち抜く 久慈 力著
  東京 現代書館, 2008/11
   ISBN-13: 978-4768469866
  目次 はじめに インターネットよりすぐれた図書館情報/
  序章 最先端の「千代田Web図書館」がリニューアルオー
  プン/第1章 拡大する公共図書館のインターネットサー
  ビス/第2章 図書館利用の極意/第3章 図書館サー
  ビス利用の極意/第4章 国会図書館利用の極意/
  第5章 公共図書館利用の極意/第6章 省庁、行政、
  議会図書館利用の極意/第7章 専門図書館、博物
  館図書室利用の極意/第8章 大学、産業、報道関係
  などの図書館利用の極意/第9章 図書館の抱える
  問題点は/第10章 図書館利用の極意 実践編/あ
  とがき テレビ番組への出演、協力のための図書館利
  用の極意

 この本では、図書館の現状がごくわかりやすく描かれており、インターネットサービス等の現在の図書館の取り組みもしっかりと紹介されている。また、図書館を使おうとするときに、どのように図書館を選び、用い、資料を検索し、貸出や予約やレファレンスなどのサービスを受けたらよいのかという極意が簡潔に記されている。第4章から第8章にかけて国会図書館や公共図書館、大学図書館や専門図書館など各種図書館を用いるときの「極意」がわかりやすく記されており、それぞれの図書館を利用する者にとってそれらの図書館がどのような特長を兼ね備えているのかが記されている。第3章では図書館で行われているサービスが紹介されている。その中には障害者サービスやビジネス支援サービス、子育て支援サービスや高齢者支援サービス、入院患者等支援サービスや多文化サービス(在住外国人支援サービス)等、どのような利用者にもしっかりと対応していこうとしている図書館の姿勢や現状がよくわかるようになっている。

 一方で第9章では、公共図書館の世界で今起こっている図書館民間委託や指定管理者制度のこと、図書館予算の削減の問題などが記されており、筆者は日本の図書館行政の問題点を指摘している。

 そのように図書館の現状に触れた後、第10章では著者自身が自らの活動においてどのように図書館を用いてきたのかが明らかにされている。

 実は管理人はこの本の帯に記されていた「図書館を使うことは市民の権利だということを身をもって教えてくれる本だ」との帯の宣伝にひかれて買ってみたのであるが、一読した後、まさにそのとおりだとの考えを強く持った。また、これも帯に書かれていた文言そのままで恐縮なのだが「ここまで図書館を使い込んでくれるとは」本当に「司書冥利に尽きる」と思っている。

 ぜひ多くの方々に、久慈さんという図書館のパワーユーザーが送り出してくださったこの本を手に取っていただき、それぞれが直面する問題の解決のために図書館を利用しようとする際の手引としていただければ幸いである。

2008.05.04

図書館は情報の町医者--静岡市立御幸町図書館に関する資料の紹介など

 私がよく視聴するテレビ番組のひとつに、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』がある。他の畑の仕事をする人の姿を目にすることが自分の栄養にもなるからである。最近のプログラムの中で印象に残ったのは、2008年4月1日放送のウェブデザイナーの中村勇吾さんの回であった。印象に残ったのは何なのかというと、ウェブデザイナーとしての仕事内容、ということよりも、中村さんが独学で始めたウェブデザインがプロの領域に到達しているということである。

 よく、私たちは「学び」を重要視するが、この『プロフェッショナル』というプログラムに出てくる人々の印象に残る姿は、やはり「学び」であり、現実との真摯なかかわりである。中村さんの例のほかにも、農薬に頼らずにリンゴ作りを進めている農家木村秋則さんが、リンゴに害を及ぼす害虫を写真に撮って図書館でその生態を研究してこられたということがこの番組の別の回で紹介されていた。

 この社会で暮らし、生き抜いていく。そのためには私たちにも「学ぶ」ということが必要になってくる。「生涯学習」が重要視されている所以である。当サイトでも今までに生涯学習にかかわる話題を何回も取り上げてきているが、生涯学習を支える組織の一つである図書館に関わる者として、私たちは生涯学習の重要性を改めて肝に銘じるべきであろう。

 生涯学習の視点から図書館を考えようとするときに、私が興味深くとらえている図書館の一つに静岡市立御幸町図書館がある。今回はこの静岡市立御幸町図書館に関する雑誌記事を紹介したい。

 「無料貸本屋」から「情報の町医者」へ 豊田高広
 『人文会ニュース』102号(2007年12月) pp.17~21

 豊田さんは静岡市立御幸町図書館の館長であり、2007年3月に勁草書房から出版された『図書館はまちの真ん中―静岡市立御幸町図書館の挑戦』の著者のお一人である。ビジネス支援サービスと外国人住民への多言語サービスを柱として活動する同図書館にかかわる上で豊田さんが重要視していることは、図書館は情報の町医者なのだということである。すなわち、仕事や社会生活の中で情報ニーズが出てきたとき、図書館がしっかりとかかわっていけることが重要なのだということである。豊田さんが図書館を町医者に例えているくだりは大変興味深いので、恐縮であるが少し引用させていただきたい。

信頼のおける町医者(公共図書館)とは、その町の人々にとって、どんな病気(課題)、にかかったとしても、最初に受診してみようと思える存在である。とりあえずの処方箋(資料、情報)を提供してもらうと同時に、必要に応じて、より専門的な病院(都都道府県立図書館、国立国会図書館、大学図書館、専門情報機関、公的機関の相談窓口、社会教育講座等)や薬局(書店)を紹介してもらう。大病にかからないための健康法(メディア・リテラシー)のアドバイスもしてもらえる。往診(移動図書館などのアウトリーチ・サービス)も町医者独自の機能だろう。保健所(行政各部局)と協カして、寝たきりをなくす(情報による自立支援)まちづくりへの取組も考えられよう。

  そして情報の町医者としての図書館に必要とされるものとして豊田さんは筆者は「『地域の記憶』ともいうべき、設置自治体とその周辺の地域資料の集積」と「さまざまな専門の入門となり得るような『広く浅い』蔵書構成」の2つを挙げる。

  人々がこの社会で生き抜くために、資料や情報を扱う機関である図書館は何をしなければならないか。豊田さんのこの論考にはその答えの一端が書かれているのだと理解している。多くの方が手に取っていただければ幸いである。

2008.03.03

[資料紹介]田村・小川編『公共図書館の論点整理』

  公共図書館の論点整理 田村 俊作・小川 俊彦【編】
  東京 勁草書房 2008.02   228,37p 19cm
  (図書館の現場〈7〉)   ISBN:9784326098330

   この本のはしがきによると、編者らはV・L・パンジトア 『公共図書館の運営原理』(勁草書房1993年刊行)に着想を得たのだという。パンジトアのこの本は「アメリカ公共図書館界で、公共図書館の運営やサービスに関連して課題となってきたことを取り上げて、対立する主張や様々な議論を整理し、論点を明らかにすることを狙いとしている」のだそうだが、今回の『公共図書館の論点整理』も、 今まで発表された書物や雑誌記事に基づき「無料貸本屋」論やビジネス支援サービス、図書館サービスへの課金、司書職制度、公共図書館の委託、開架資料の紛失とBDS、自動貸出機といった問題をそれぞれ章に分けて論点整理を行っている。また、その論点整理を踏まえそれぞれの執筆者がコメントを寄せている。

 曲がり角にいる日本の公共図書館。当会を含め様々な立場の方々がそれぞれの活動や発言に取り組まれている。この本は、上記に掲げたテーマの取り組みを進めていく上で、その取り組みの基礎として有用なものになるであろう。ぜひ多くの方々に手に取っていただきたい。

2008.02.24

[資料紹介]松林正己著『図書館はだれのものか』

  図書館はだれのものか : 豊かなアメリカの図書館を訪ねて / 松林正己著. --

  春日井 : 中部大学 名古屋 : 風媒社 (発売), 2007.2 96p ; 21cm. --

  (中部大学ブックシリーズアクタ ; 7) ISBN: 9784833140577

   最先端公共図書館の誕生―シアトル公共図書館新館
  2 フィラデルフィア図書館組合―公共図書館の起源
  3 世界最大の国立図書館―米国議会図書館と全米図書館政策
  4 研究図書館協会のはたす役割
  5 図書館の専門職制度―人的サービスの充実
  6 結論に代えて

 

 岩波新書として菅谷明子著『未来をつくる図書館 ニューヨークからの報告』が2003年に出版されて以来、 様々な海外図書館紹介資料が出版され、私たちも参照できるようになっている。今回紹介する松林さんの本は昨(2007)年出版されたが、そこに紹介されているシアトル公共図書館の章を読むと、働き方の問題など私たち日本の社会で起こっている様々な問題にへの図書館のあるべき姿が思い描けるのではないかという印象を持った。例えば、その章には「シアトル公共図書館友の会」「公共財の運営方法」「少数民族のための多言語サービス」「障害者へのサービス」「究極のビジネス支援としてのホームレス対策」「ビジネス支援サービス」「図書館と民主主義」などの項目があり、社会に生きる人間にとって図書館とは何で、どのように運営していこうとしているのかが端的に紹介されているように思う。5年ほど前にサンフランシスコ公共図書館を訪ねた際にしっかりと就職支援関係の資料が収集されているのを思い出し、感慨を新たにした次第である。

 この本もまた、図書館のことを真摯に考える多くの方にぜひ手に取っていただきたい一冊である。

2008.02.10

[資料紹介]雑誌『としょかん』

 長く地域と市民の立場から図書館活動交流を支えてきた『としょかん』はいったん休刊となりましたが、あらたに「としょかん文庫・友の会」により再刊されています。全国の図書館友の会などの動きがよくわかり、また、105号には有志メンバーによるフィンランド図書館訪問記など興味深い記事なども掲載されています。『つれづれ』というウェブログがこの雑誌の目次を再録していてくださっていますので、ご参照のうえ、多くの方にぜひお読みいただければ、と願っています。

2008.01.27

[資料紹介] 山内薫著『本と人をつなぐ図書館員』

 ランガナータンの昔から、私たちは「それぞれの人に、その人にとって必要な資料を」と言ってきた。当サイトでもその言葉を拝借している。では、資料や図書館を使いたくても使いづらい人に対して、私たちのすべきことは何であろうか。そのことを真摯な書物でまとめてくださった方がいる。今回はその本のことについて紹介したい。

 本と人をつなぐ図書館員: 障害のある人、赤ちゃんから高齢者まで
 山内 薫・著
 東京 読書工房 2008.1
 ISBN978-4-902666-15-1

 この読書工房という出版社は、本を「誰でも」楽しめたり、利用したりできるメディアに進化させるため、書籍のユニバーサルデザインを研究し、実践しているとのことである。著者である山内薫さんは東京都墨田区立図書館で長年にわたり「図書館利用に障害のある人へのサービス」を手がけてこられた方であり、日本図書館協会の障害者サービス委員もなさっている。

 本書には、著者である山内さんと障害のある方々や認知症の方々、赤ちゃんや親御さん方との関わり、刑務所図書館のこと、心身障害学級のこと、障害のある方々にとって読むとは、書くとは、情報とは何なのか等が9つの章立てにまとまっていている。それらのことはどれも山内さんが実際にそのような「読みたくても読みづらい人々」や「他の領域のプロフェッショナル」たちと関わりながら経験してこられたことである。きっと、読む人はそれらの生の中から、読書というものの大切さ、「それぞれの人自身の読みたい本に出会うこと」の大切さ、そして図書館(司書)の果たす役割の大きさに気づかされることであろう。

 ぜひ、多くの図書館関係者の方がこの本を手に取っていただければ、と念じている。

2008.01.10

[ウェブページ紹介]片山善博著「図書館は民主主義の『知の砦』」

 前回記事では川崎で行われる予定の片山善博元鳥取県知事(現慶応義塾大学大学院教授)の講演会をご紹介したが、今回はそれに関連してNikkei-netに掲載されていた片山さんの発言を紹介したい。まずは例によって書誌事項の紹介からである。

 「図書館は民主主義の『知の砦』」(2007/12/27)(片山善博の直言・苦言・提言)
 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/katayama.cfm?i=20071220c2000c2&p=1

 「民主主義の社会は、治者と被治者が同質であることを前提にして成り立っている。...ところが、政府と国民の間には往々にしてとてつもなく大きい情報格差が存在する」、片山さんはこのように話を起こしたあと、年金問題や市町村合併を例に取り上げながら、一人ひとりの市民が現状を把握し検証しようとする際の情報アクセスの不便さに触れている。「貧困で歪な」情報環境の中に国民が身をおくしかない状況の問題点を指摘したのち、片山さんはそのような状況で「重要な役割を果たしうるのが図書館である」とする。

 確かに、この社会はさまざまな生きにくさを抱えた社会である。その中でどのように私たちが生き抜いていけるのか。そのヒントは図書や雑誌など様々なメディアの中にある様々な情報から得られることが多い。そして、それらの情報へのアクセスの場所として図書館も有力なのだと確信している。

 図書館が曲がり角を脱し、市民がそのような情報へのアクセスをするお手伝いの場として生き生きと活動していくために、片山さんはとても大切な提言を下さっているのだと筆者は考えている。図書館に関わる多くの方が上記ウェブサイトをお訪ねになり、書かれている提言をお読みいただければ、と願っている。

2007.08.13

[資料紹介]医者よりも医療情報サイトで得た知識を信じる患者たち(メディアサボール)

 ネットサーフィンをしていたところ、「メディアサボール」というブログを見つけた。「専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク」と謳われている。今回私の目が行ったのは、その中の「医者よりも医療情報サイトで得た知識を信じる患者たち」というタイトルの記事である。執筆者は、南田登喜子さんという、オーストラリア在住ジャーナリストである。

    論題 :医者よりも医療情報サイトで得た知識を信じる患者たち
    著者 :南田登喜子
    ブログ名:メディアサボール

 南田さんは、2007/7/14付け"Sydney Morning Herald"に紹介されていた、誤った情報により自己誤診をしてしまった患者を安心させるために医師が苦労している話を踏まえたうえで、「納得のいく医療サービスを受けたいと思っている人にとって、インターネットで得られる情報や知識は不可欠になりつつある」ということや、「ネット上に氾濫する玉石混交の情報を自己責任で判断する目を養うことの重要性」について述べておられる。いわば医療の場面での情報リテラシーの重要性の指摘だといえよう。また、「病気についてもっと知りたいと思っている一般の人々のために必要なのは、規制ではなく、「調べる」というアクションが受診や早期治療、予防医療につながっていくための分かりやすい仕組みづくりだ」とも述べておられる。私たち図書館に関わる者についても重要な問題提起だと思う。

 南田さんが末尾に紹介してくださっているウェブページには、医療者の発言とともに、当ウェブでかつて紹介した朝日新聞の記事「賢い患者術」のページや、「医療情報・法情報およびビジネス情報に関わる参考業務のための指針」についても紹介してくださっている。光栄なことである。南田さんがおっしゃる「分かりやすい仕組みづくり」のために必要な歩みが着実に進んでいくことを私も切に願っており、私たち図書館に関わる者の歩みがそこに繋がっていくことができれば、その一人として幸いである。

2007.07.22

[資料紹介]松山巌制作「新潟県中越沖地震(2007年7月16日)に関するリンク集」

 新潟県中越沖地震の発生からもうすぐ一週間が過ぎようとしている。しかし、まだ、人々の暮らしに平穏が戻るまでにはまだかなりの時間がかかりそうである。壊れた家、避難所生活、その他もろもろの事柄…。

 そのような時、知り合いから標記のリンク集を紹介してもらった。今回のような災害に直面したとき、そして廻りのものが当事者たちのことを理解し、援護しようとするとき、そして自らが災害への備えをしようとするとき、重要となるものはやはり情報である。標記のリンク集には以下の項目に分けられた有用なウェブ情報源がまとめられている。

  気象庁∥NHK∥他のマスコミ(ラジオ局の周波数一覧あり)∥
  総務省消防庁∥自治体∥ライフライン,生活情報総合サイト∥
  交通・運輸∥電話・郵便・金融機関∥救援・救護・復興∥
  義援金∥ 図書館∥国の機関∥学術的な情報∥
  リンク集・ブログなど

 URLは下記のとおりである。是非一度ご訪問いただければ幸いである。

  http://www2.odn.ne.jp/~cbp91480/niigata07.html

2007.06.16

[資料紹介]『TOKYO図書館日和』

 今日は、少々洒落た図書館案内の本を紹介したい。例によって書誌事項の紹介からお目にかける。

    TOKYO図書館日和 /冨澤 良子【著】
    東京 アスペクト,2007.06
    ISBN:9784757213913 (4757213913)

 「お気に入りの図書館をみつけよう」というメッセージと、女性が本棚にはしごをかけて本を取ろうとしている写真が表紙になっているこの本には、公共図書館や専門図書館(たとえば博物館や美術館、大使館に併設されている図書館)など、が掲載されている。掲載された各館には館内の風景写真や随想のような短い紹介文が載せられている。

 紹介されている図書館には次のようなところがある。若干紹介したい。

  住まいの図書館、日清食品 食の図書館、食の文化ライブラリー、
  東京ドイツ文化センター図書館、東京日仏学院メディアテーク、
  国立国会図書館国際こども図書館、ちひろ美術館・東京図書室、
  東京都写真美術館図書室、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館図書室、
  大宅壮一文庫、アド・ミュージアム東京広告図書館、
  目黒区民センター図書館;東京都立中央図書館、
  旅の図書館、江戸東京博物館図書室

 たとえば、海外に旅をするとき、住まいや食べ物など普段の生活で何かふと疑問を持ったとき、ここにある図書館を訪ねて情報収集などするとよいのではないだろうか。皆さんも是非この本を手に取ってみていただきたい。

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