[資料紹介]久慈 力著『図書館利用の達人―インターネット時代を勝ち抜く』
今日は、書店で何気なく見つけた資料を紹介してみたい。著者はノンフィクション作家であり歴史研究家である久慈力さんである。久慈さんは日々著作活動やジャーナリスト活動、市民運動や訴訟、テレビ番組出演などの活動で図書館を使いこなしながら様々な成果を挙げている方である。
図書館利用の達人―インターネット時代を勝ち抜く 久慈 力著
東京 現代書館, 2008/11
ISBN-13: 978-4768469866
目次 はじめに インターネットよりすぐれた図書館情報/
序章 最先端の「千代田Web図書館」がリニューアルオー
プン/第1章 拡大する公共図書館のインターネットサー
ビス/第2章 図書館利用の極意/第3章 図書館サー
ビス利用の極意/第4章 国会図書館利用の極意/
第5章 公共図書館利用の極意/第6章 省庁、行政、
議会図書館利用の極意/第7章 専門図書館、博物
館図書室利用の極意/第8章 大学、産業、報道関係
などの図書館利用の極意/第9章 図書館の抱える
問題点は/第10章 図書館利用の極意 実践編/あ
とがき テレビ番組への出演、協力のための図書館利
用の極意
この本では、図書館の現状がごくわかりやすく描かれており、インターネットサービス等の現在の図書館の取り組みもしっかりと紹介されている。また、図書館を使おうとするときに、どのように図書館を選び、用い、資料を検索し、貸出や予約やレファレンスなどのサービスを受けたらよいのかという極意が簡潔に記されている。第4章から第8章にかけて国会図書館や公共図書館、大学図書館や専門図書館など各種図書館を用いるときの「極意」がわかりやすく記されており、それぞれの図書館を利用する者にとってそれらの図書館がどのような特長を兼ね備えているのかが記されている。第3章では図書館で行われているサービスが紹介されている。その中には障害者サービスやビジネス支援サービス、子育て支援サービスや高齢者支援サービス、入院患者等支援サービスや多文化サービス(在住外国人支援サービス)等、どのような利用者にもしっかりと対応していこうとしている図書館の姿勢や現状がよくわかるようになっている。
一方で第9章では、公共図書館の世界で今起こっている図書館民間委託や指定管理者制度のこと、図書館予算の削減の問題などが記されており、筆者は日本の図書館行政の問題点を指摘している。
そのように図書館の現状に触れた後、第10章では著者自身が自らの活動においてどのように図書館を用いてきたのかが明らかにされている。
実は管理人はこの本の帯に記されていた「図書館を使うことは市民の権利だということを身をもって教えてくれる本だ」との帯の宣伝にひかれて買ってみたのであるが、一読した後、まさにそのとおりだとの考えを強く持った。また、これも帯に書かれていた文言そのままで恐縮なのだが「ここまで図書館を使い込んでくれるとは」本当に「司書冥利に尽きる」と思っている。
ぜひ多くの方々に、久慈さんという図書館のパワーユーザーが送り出してくださったこの本を手に取っていただき、それぞれが直面する問題の解決のために図書館を利用しようとする際の手引としていただければ幸いである。
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